福王寺 峻平

市街地の縮小を想定した都市計画区域の再編に関する研究

中出文平 松川寿也 樋口 秀

本研究では、市町村合併によって線引きと非線引きの都市計画区域が並存した自治体のうち、主として、非線引き都市計画区域内にある用途地域に着目して研究を進めている。既に都市計画区域の統合(非線引き都市計画区域の線引き都市計画区域への統合)を完了した複数事例の調査実績から、統合に際して、「非線引き都市計画区域内の用途地域を市街化区域へと移行することが困難」である実態が明らかにされている。地方都市を中心に人口減少が今後も拡大することから、従前の用途地域の市街化区域への移行がさらに困難になることが予想され、都市計画区域の統合を現在検討している自治体の中には、用途地域の一部を縮小して市街化区域へと移行させた統合を目指す取り組みも散見されている。そこで本研究では、人口減少下で都市計画区域を再編する上での、集約型都市を目指す再編の方法論を考察することを目的としている。
まず、研究手法は、平成13年1月1日から平成23年10月1日までに合併した市町村のうち、線引きと非線引きの区域が併存する都市(83市町)を抽出した上で、非線引き都市計画域内に用途地域を持つ都市(55市町)を対象とする。これらの都市のうち、非線引き用途地域を市街化区域に既に再編している都市を除く、線引きと非線引きの都市計画区域が隣接している都市(37市町)にアンケート調査をした。この都市の中から用途地域を縮小して市街化区域へ移行した又は検討中、検討した都市6都市を抽出し、6都市の中から宇都宮市、松本市、相模原市を対象に選定した。その3都市に対して資料収集やヒアリング・現地調査を実施し、以下を明らかにする。
人口減少下で都市計画区域の再編をする上で、用途地域指定時に人口が増加することを予測して用途地域を指定したものの、実人口は予測人口ほど増加せず、逆に減少に転じていることから、指定していた用途地域の規模に大きな乖離が出てきており、現在の都市に合った大きさに用途地域を縮小して市街化区域に指定していく必要がある。指定する際に既成市街地要件を満たす必要があることから、各都市では農地や山林などの人口が集積していない区域を指定から外し、人口が集積している区域を繋ぐことによって要件を満たしていることが明らかとなった。また、非線引きの都市計画区域から市街化区域・市街化調整区域となることにより、両方の区域の住民から規制などについて反対の声が出てくることが考えられるが、それに対応するための措置として、同じ用途地域の縮小であっても各都市で検討、実施する対応に違いがある事が明らかとなった。
本研究では集約型都市を目指す都市計画区域の再編方法として用途地域の縮小を提案している。今後人口が減少していくことが予測され、都市を現在の形で維持していくことが困難な都市の増加が考えられることから、都市に合った規模の用地地域へと縮小していくことが望まれる。

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