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沖村　駿成

地方都市におけるまちなか居住の実態と課題に関する考察

樋口秀　松川寿也　中出文平

近年、多くの地方都市では中心市街地の衰退、人口減少が問題視されている。中心市街地活性化を目指す都市では中心市街地の人口増加による活性化が模索され、今後の方向性としてコンパクトシティや集約型都市構造が目指されている。しかし、地方都市はその位置・人口規模等が多様であるため、まちなか居住の実態や目標像、進め方は十分に示されていないのが現状である。
そこで本研究は、新潟県内4市のまちなかを対象に、全国で共通して実施されている国勢調査の結果を用いることにより国勢調査から住宅と世帯の構造、まちなか居住の実態を把握し、課題を探ることを目的としている。
まず新潟県内で中心市街地活性化基本計画を策定している新潟市、長岡市、上越市高田地区、十日町市のまちなかの住宅と世帯の状況を把握した。次に4市のまちなか全715地区について①平成22年人口密度②人口密度変化量③15歳未満人口率④共同住宅居住世帯率の4指標を用いてクラスター分析を行った。その結果、6つのクラスターに分類することができた。その中から低密高齢世帯戸建て人口減少地区、高密戸建て人口急減地区、高密半戸建て半共同住宅人口減少地区の3クラスターから詳細対象地区を計10地区抽出し、詳細分析と現地調査を実施した。戸建て住宅が主体となった地区では人口や世帯特性が類似している点が多くみられ、敷地の変化や道路環境も共通する点が多いことがわかった。地区内の人口減少の要因は住宅系用途の敷地数の減少や道路幅員が狭い道路が多い等の理由により世帯数の減少は小さいため世帯分離による人口減少であることが明らかとなった。さらに、高密戸建て人口急減地区は、より人口減少は急激に進行しており、その原因として敷地面積が狭く、世帯密度が高いため人口が急激に減少していることが明らかとなった。
まちなか居住を促進するためには既存の戸建て住宅居住世帯への対応が急務である。そのためには、ハード面では空地となった敷地の統合をおこなうことで敷地の面積・形状の問題を解決し、ソフト面では地区への転入支援をおこなうことが必要と言える。

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