都市交通研究室 渡邊智貴

四輪車と二輪車の混在状況の違いを考慮した混合交通流の解析 

佐野可寸志 西内裕晶

東南アジアの多くの国では,二輪車が主要な交通手段となっており,経済発展に伴って急速に個人所有が進み、今まで以上に重要な交通手段となっている。しかしながら,二輪車に関連する法制度は未整備で、交通施設の設計における取扱いや都市交通計画上の位置づけが不明確であり、交通運用においても主要な対象として取り扱われてこなかった。その結果、二輪車利用の増加に伴って、交通事故、交通渋滞、交通公害などのさまざまな交通問題が急速に顕在化し、大きな社会問題となっている。
近年ではモータリゼーション化が進みつつあり,道路上において二輪車と四輪車が混在している状況が多く見受けられるようになった.そのため,道路上では四輪車と二輪車・自転車等の二輪車が混在して走行する状態にある.二輪車と四輪車では,車体の大きさや走行特性が異なるため,混在すると複雑な交通状態となり,交通事故の危険性増大や交通容量の低下等が起こりうる.このような道路状況の都市に対し安全性・効率性の高い交通システムを確保するには,二輪車と四輪車が混在した状態での交通流特性を把握し,それを踏まえた道路運用,交通制御を講じる必要がある.
東南アジアの中でもベトナムは特にオートバイ保有台数が多く,交通流に占めるオートバイの割合も非常に大きい.また,ハノイ市はホーチミン市に比べ交通インフラが整っておらず,交通事故,交通渋滞,交通公害などの様々な交通問題があり,社会問題ともなっている.そこで本研究では,ベトナムのハノイ市で取得した車両速度,位置座標,車両密度のデータを用いることで,混合交通の混在状況が異なる場合において,同じ車両密度であっても速度差がみられるかに関して,ボロノイ図を用いた手法により明確にする。ボロノイ分割を行うことにより,車両の混在状態の表現することができた.また,その結果を用いて混合交通状態における交通流モデルを構築した.加えて,感度分析を行い,得られた交通流モデルの混在状態を示すと考えられる説明変数を変化させていき,交通制御をした際に速度がどの程度変化するのかを確認した.そして,提案した道路運用・交通施策の効果を分析し,運用可能性を示唆することができた.

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