倪庚宇

プローブカーデータを用いた信号パラメータ最適化に関する研究

佐野可寸志,西内裕晶

本研究の目的は,プローブカーデータのみで信号交差点を通過する交通量を推定し,その交通量から信号交差点のパラメータの修正を提案することである.具体的には,プローブカーが信号交差点での停止と発進挙動から発生した衝撃波を利用し,2台のプローブカーを用いて,その前のプローブカーが通過した後の交通量を考慮し,2台のプローブカーの間の交通量の推定を試みる.さらに,プローブカー混入率を考慮し,15分間の信号交差点の通過交通量を推定する.その推定した交通量に基づいて,信号パラメータの再設定を試みる.
本研究から得られた知見として,まず,2台プローブカーの間の交通量推定から,交通量が200veh/hような少ない場合では,赤現示で形成した車両行列が短くて,抽出したプローブカーの停止位置から停止車線の距離も短いから,その距離から衝撃波が正確に反映されていないため,ばらつきが大きくなった.ただし,交通量が400veh/h以上になると,ばらつきの向上傾向が顕著に表れ,推定値の差の平均(絶対値)が4台以下に抑えることができ,精度よく広い期間の交通量を推定ができることを示した.
そして,15分間交通量の推定から,200veh/hの場合実際の通過交通量より過大推定する傾向であることがわかる.それは上流側の交差点によって交通量が少ない割に車群が形成され,プローブカーが車群の内部に存在する確率は車群の外部より大きくて,その車群が目標交差点に到着すると,停止波が過大推定され,結果的に交通量も過大推定してしまったことを示した.さらに,交通量が多くなるほど推定誤差が小さくなる傾向も示した.特に交通量が400veh/h以上になると,その推定結果の平均値の誤差はほとんど5%以内に抑えられたので,精度よく推定できたことを示した.
最後,交通量から提案した信号パラメータからは,平均遅れ時間の短縮が見られ,混入率が最低の5%の場合でも,その平均遅れ時間の短縮の可能性を示した.
本研究では,プローブカーデータのみで,信号パラメータの設定に重要な情報である通過交通量の推定を定式化した,その交通量から信号パラメータの提案まで一連の手法を示し,ある程度の交通量がある場合,精度よく信号パラメータの修正が可能であることを明らかにした.

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