長井大樹

柏崎刈羽原子力発電所の事故発生時避難行動分析とボトルネック対策による早期渋滞完了の可能性検討

佐野可寸志、西内裕晶

先日発生した東日本大震災による被害で福島原発は被災し、緊急事態宣言が発令されたために多くの住民が避難する事態になった。これを受けて柏崎刈羽原発でも福島原発と同等の事故が発生した場合に対する新たな避難計画を策定する必要がある。そのため柏崎刈羽原発での災害時の交通状況をミクロ交通シミュレーター「Paramics」を用いて推定する。
避難対象地域は柏崎刈羽原発から半径30kmの範囲とする。シミュレーションに必要なOD表の作成には避難対象範囲で実施した住人アンケートの集計データ、H22年道路交通センサスと市町村の地区別世帯数データ、を用いる。ODは発災直後の初動とUPZの自主避難、PAZ避難、UPZ避難、バス避難の5種類に分類してそれぞれ求める。使用するデータは基本的にBゾーンのものだが今回のネットワークはBゾーンではゾーン1つあたりの範囲が広すぎるために、これを町丁目別に最大5つに分割して使用する。そのためOD表もそれに合わせてBゾーンのデータを町丁目別世帯数の比で分配する、これらのOD表を用いて段階的避難を行うために時間帯配分し、シミュレーションを実行する。段階的避難を行うためにPAZ地区避難とUPZ自主避難のODが90%避難完了した時点でUPZ避難ODを発生させる。シミュレーションの結果90%避難ODは5時間2分となりこの直後にUPZ地区で避難が開始される。そして全地区の避難が完了するまでに要した時間は15時間22分となった。更にこのシミュレーション結果から車両が集中している箇所をParamicsのツールを用いて発見し、そこからボトルネックの抽出を行う。そしてそのボトルネックへの施策としてボトルネックの車線増加とスマートICの追加を行った。ボトルネックの車線を追加した場合90%避難時間はおよそ20分短縮されて、全地区避難完了までには30分の短縮に成功した。スマートICを追加した場合は90%避難までに4時間40分とこちらも20分ほどの短縮に成功し、全地区の避難時間は50分もの短縮に成功した。本研究では柏崎刈羽原発の災害時シミュレーションをアンケートデータから集計したデータを用いて実行した。その結果から混雑箇所の特定・ボトルネックの抽出を行い。施策の導入により最大50分の避難時間の短縮に成功した。

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