友野貴裕

新潟都市圏における時間帯別ODの推計と交通施策評価

佐野可寸志 西内裕晶

新潟都市圏の交通の問題点一つは,朝夕のラッシュ時に主要幹線路線を中心に大規模な混雑が発生することである.このように特定の時間帯に発生する交通混雑に対しては,その時間に料金を課すといったソフト的な施策が効果的であり、このような施策の評価は時間帯別に行う必要があり、そのために、時間帯別のOD交通量が必要である。本研究では,平成22年度全国道路・街路交通情勢調査の結果を元に,既存の観測リンク交通量を用いて時間帯別ODの推計プロセスを提案し推定法と推定結果を評価する。また推定した時間帯別ODを用いて新潟都市圏における時間帯交通施策の評価をすることを目的とする.
本研究では小根山らが提案したモデルを用いる.このモデルは,静的なOD推計モデルを時間的に拡張したものであり、一定時間内におけるリンク旅行時間は変化しないものとして推定OD交通量を求める. 既往のOD推計モデルでは,外生的にリンク選択確率を与える必要があり,その方法として観測リンク旅行時間を元に、時間帯に拡張したDial確率配分法を用いて推定をしている.しかし,これにはプローブカーなどの観測データが必要となる.そこで本研究では,交通情勢調査等の観測リンク交通量からリンクコスト関数を用いて計算する。また、観測地の不足を補足するため、推計、配分を繰返し行う。
結果として、繰返し計算手法によって配分結果の改善がなされることを確認でき、時間帯別のOD推計手法を新潟都市圏に適用した場合、配分交通量の再現性の向上に繋がることがわかった。また、OD推計を行うにあたって、ゾーンの設定、リンクコスト関数のパラメータの適切な設定が必要であることがいえる。
交通施策評価では、ピーク時間帯における高速道路料金の割引率を増加させる施策を実施した場合を評価した。結果として、割引率を増加させることで、バイパスから高速道路への転換交通が発生し、ピーク時間帯におけるネットワーク全体での総走行台時を減少することが可能であることが明らかになった。また、総走行台時の減少量と減収益の関係から本研究で提案した施策が妥当であるといえる。
今後の課題として,本研究では既存モデルの関係から、乗用車換算係数で大型車をPCUに換算しており、大型車、小型車の違いを考慮できていないこと。また、施策評価時に時間帯で割引額が変化する場合、前後の時間帯の利用者が割引時間帯での利用を目的に出発時間の変更することが考えられる。この出発時間の変更行動の考慮などがあげられる。

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