安井 健二

時系列衛星データによる水稲生育特性把握のための地上分光基礎観測情報の適応性に関する検討

力丸 厚 坂田 健太 高橋 一義

現地で行う生育調査は水稲の細部まで調査が可能だが、広範囲に分布している水田の全圃場を診断するのは困難である。そのため衛星リモートセンシングによる広域的な解析との組み合わせが有効であると考えられる。また、その基礎段階として、地上観測による水稲の生育特性を衛星観測情報と対応した分光特性として把握する必要がある。
Terra/Aqua 衛星に搭載されているMODIS センサによる衛星画像は同一地点を各々1日2回の頻度で観測しており、通常の地球観測衛星に比べて時間分解能が高いため、曇天による観測障害を克服しやすく,水稲の生育状態変化を週単位程度で把握できることが期待される。またMODIS 画像は空間分解能が250m と高くないが、新潟の圃場は,幅30m長さ100m区画の圃場整備が進んでおり,複数の区画が連接する地区も多い。このため,現地区画状態と衛星画像との精密な照合をおこなえば,圃場が広域に連接している領域を設定することにより,MODIS 画像による解析の可能性が考えられる。
本研究では水稲の赤域と近赤外の変化の特徴に着目し、近赤外と赤域の差である差植生指数DVI (Difference Vegetation Index)を使用し、相関関係を検討した。地上観測による水稲生育期の植被率と分光特性から算出したDVI、さらに時系列MODISデータから得られたDVIとの相関関係を比較検討し、地上分光基礎観測情報のMODISデータに対する適応性を検討することを目的とした。
地上観測DVIと植被率の関係については、高い相関を確認することができた。地上観測DVIとMODIS観測DVIにおいては出穂期まで増加傾向を示し、それ以降減少傾向を示した。相関については、MODISにおいて、DVIの抽出を行った領域の一つと地上観測DVIとの間に高い相関が見られ、他の領域とは違う傾向が見られた。これはこの領域において作付けされている品種に他と違いが見られたためである。地上観測DVIとMODIS観測DVIにおいてそれぞれ増加すると植被率も増加する傾向が見られた。これらの成果から地上分光基礎観測情報のMODISデータに対する適応性が見られた。

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