地盤工学研究室 豊島 克亘

礫混じり砂のせん断弾性係数と液状化強度に与える礫形状の影響

指導教員 豊田 浩史

 液状化は、地下水位が高く、緩く堆積した砂地盤で発生するのが一般的である。しかし
1995年に発生した兵庫県南部地震では、礫質土地盤が液状化したことが報告されている。
それにも関わらず、礫分を考慮した研究はほとんどない。また、液状化の抑制に効果があ
るとされる工法の一つにプレローディング工法が挙げられるが、本来は軟弱地盤対策とし
て用いられるのが一般的であり、砂地盤の液状化に対して効果を発揮するメカニズムは明
らかではない。これらを踏まえて本研究では、幅広い粒径を有する地盤の液状化評価手法
の構築を目指した。方法としては、礫の形状(円礫と角礫)と礫分含有率、過圧密比(OCR)
が液状化特性に及ぼす様々な影響と、波動伝播特性と微小変形特性、またそれぞれの関連
性について調べた。本研究で得られた結論を以下に示す。
 
(a) 礫質土の液状化特性
1.礫分が質量で20%を超えると、液状化強度が増加してくる。
2.礫分が10%までは、礫形状によらず同じ液状化強度になるが、礫分が20%を超えると、円
礫混じり砂よりも角礫混じり砂の方が液状化強度は大きくなる。
3.過圧密化によって液状化強度は増加する。この効果は、砂のみの供試体よりも礫混じり砂
供試体の方が強く、さらには円礫混じり砂供試体よりも角礫混じり砂供試体の方が強い。
(b) 液状化強度に関連する波動伝播特性と微小変形特性
1.液状化強度は、せん断ひずみ0.02%程度のひずみレベルの割線せん断弾性係数と良い相関
性があるといえる。つまり、この割線せん断弾性係数から液状化強度を推定することがで
きる可能性がある。
2.割線せん断弾性係数を初期せん断弾性係数で正規化して、OCRで場合分けした正規化G
−εs関係を示した。この関係と原位置調査結果(VS)を用いることで、液状化強度を推定す
る手法を示した。




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