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シールド機動力学モデルによるSENSマシン挙動解析

杉本　光隆

　新しいトンネル構築工法であるSENSは東北新幹線（八戸～新青森間）の三本木原トンネルで世界で初めて採用され，安全性，施工性，経済性に優れた工法であることを実証し，2006年土木学会技術賞や第37回日本産業技術大賞審査委員会特別賞を受賞した．2例目となる北海道新幹線（新青森～新函館（仮称）間）の津軽蓬田トンネルも2012年10月無事貫通している．
　今後，利用が進むと考えられる大都市部の大深度地下は、SENSが対象とする洪積層・新第三紀層を主体とした地盤で構成されていることから，SENSを適用する場合が増えていくと考えられ，大いに発展が見込まれるトンネル施工技術である．
　SENSは最近開発されたトンネル構築工法で，施工例も2例しかないことから，今後さらなる研究開発を必要とする課題もある．
　例えば，シールド機の制御に関しては，SENSはシールド機後方から妻型枠を通して，コンクリートを打設することから，シールド機と内型枠の間隔を一定に保つことが必要で，通常のシールドよりはるかに高い精度でシールド機の位置と向きを制御する必要がある．
　これに対し，SENSマシンの制御は，計画線形に沿うように，現場あわせで，コピーカッターの使用条件，中折れ角度，シールドジャッキの使用条件を調整してあり，以下のような問題点を考えている．
　①　SENSマシンの力学的釣合い条件が考慮されておらず，仮にコピーカッター使用条件や中折れ角度が不適切であれば，トンネル計画線形逸脱してしまう．
　②　地盤とSENSマシンの接触に伴う過大なシールドジャッキ推力の発生，そしてこれによる内型枠への偏荷重発生．
　③　SENSマシンが蛇行することによる一次覆工コンクリートの巻厚不足．
本研究では，津軽蓬田トンネルで発生した推力上昇現象について，現場計測データを整理し，シールド機動力学モデルを用いて，マシンの挙動解析を行った．その結果，シールド機動力学モデルはSENSマシンの挙動を合理的に表現できることがわかった．また，推力上昇の主な要因は，短い区間でシールド機のジャッキモーメントを変化させたことで，マシンピッチングが変化し，マシンと地山が競ったことによるものとわかった．

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