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冨澤　芙友香

長岡市の中心市街地活性化策の効果と課題

樋口　秀中出　文平松川　寿也

新潟県長岡市では衰退する中心市街地の活性化に向けた取り組みとして、公共施設のまちなか回帰を中心に「まちなか型公共サービス」を目指し、複数の事業を実施している。平成24年４月にオープンしたシティホール「アオーレ長岡」は平成24年度の年間来場者数150万人を突破し、全国的に注目を集めている。
本研究では、先進的事例である長岡市を対象として、重点目標である「来街者の増加施策」に着目し、事業単体の評価だけではなく複数の事業による効果を評価することで、中活事業で新たに追加された機能や施設が中心市街地全体に与えた効果の実態や課題を明らかにする。
まず、中心市街地を利用している来街者へのアンケートから来街者の特徴と意向を把握した。来街者の交通手段として車を選択する割合が最も多いが、中心市街地へ車で来街する際には駐車場の料金等に不満を感じており、来街促進の妨げとなっていることが明らかとなった。また、来街者が中心市街地を回遊するためには交通の改善よりも商業店舗の魅力向上が必要である。
次に、中心市街地に来街する目的の変化と現状を把握し、活性化事業による影響を考察した。アオーレ長岡やまちなかキャンパス長岡にはオープン以降多くの利用者を集めており、来街促進の足がかりとなっている。また、一部に店舗の更新や空き店舗への出店の動きも見られるものの、全体では商業用途の敷地数は減少しており、空地・駐車場は通りに面していない街区の内部で連鎖的に増加しているため、中心市街地の空洞化が懸念される。
さらに、中心市街地の来街手段としてみた車利用の実態を把握し、活性化事業実施との関連性を考察した。来街者の減少から利用台数の減少が続いていたが、平成23年４月の料金値下げや大手通り周辺での新施設オープンによって利用者が増加している。また、利用台数の大幅な増加により料金値下げによる減収も見られない。しかし、短時間利用者が多いことから来街者が中心市街地で回遊していないと推測された。駐車場施策や大規模開発で集客力が高まってはいるが、更に来街者が魅力を感じる市街地づくりに努める必要がある。
今後の中心市街地への来街者増加に向けた対応策として①面的な中心市街地の魅力向上のため、低未利用地への店舗誘致の際にエリア単位での計画を策定し、来街者にとって魅力のあるまちをつくること、②共通駐車券をはじめとする駐車場サービスの改善として、商店街のイベントに合わせた駐車場の無料化や無料駐車時間の延長、長時間利用の一定額化によって中心市街地へ来街するハードルを下げ、来街を促すことを提案した。

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