小竹祐司

時間帯別利用者均衡配分モデルを用いた新潟都市圏の交通施策評価

佐野可寸志,西内裕晶

本研究は,近年ニーズが高まっている時間帯別利用者均衡配分法を新潟都市圏に適用し,適用の際の課題と留意点を明らかにした.また,それを時間帯ごとに異なる料金を徴収する高速道路料金施策を評価した.
始めに,新潟都市圏を対象に日別利用者均衡配分モデルと時間帯別利用者均衡配分モデルにてそれぞれの交通量配分分析を行った.利用者均衡配分モデルとは,非線形連立方程式式を等価な数理最適化問題に置き換え,数値計算によって解いて交通量を求めるものである.数理最適化問題の解法は様々な物があるが,本研究では配分計算で代表的に使われているFrank-Wolfe法を使用した.また,日別では1日を通した簡易な交通量配分となり,1時間単位などの短時間で変化する交通施策を導入する施策評価には不向きである.一方時間帯別では,1時間単位で配分するほか,前時間帯の配分交通量をOD修正法により残留交通量を反映させることができ,1時間単位での交通施策の評価を行うことができる.そのほか,リンクコスト関数として使用するBPR関数はプローブカーデータと道路条件等から推定した上で,パラメータの設定を行った.
交通量配分結果が出力され,センサスによる観測データと配分結果による推定データをスクリーンラインで現況再現を行い,再現性を絶対推計誤差比較を箇所別で行った.その後,箇所別に日別と時間帯別どちらの誤差がより大きいかを比較し,その総数を集計し,全体の箇所比率から有用性を提示した.次に,パラメータごとのRMS誤差比較により推定誤差の絶対量による比較も行った.そして,箇所比率とRMS誤差比較の点から日配分から時間帯別配分の精度改善における有用性を考察した.精度向上の検証には,サンプルとして取り出した数十箇所のデータから日配分及び時間帯配分を1日に集約した配分交通量それぞれと日観測交通量の相関を評価し,誤差値を求める方法で行った.有意性を確認したが,時間価値の設定等によりさらなる改善が必要であると分かった.
具体的な施策評価は,総所要時間と料金収入の図を作成し,総合的に評価した.試算結果より,総所要時間と料金収入の関係はトレードオフの関係があることを確認し,所要時間の最小化かつ料金収入の最大化を満たす施策は絶対的なものは示せていないものの,相対的には2014年4月の新制度料金施策がバランスの良い結果であることが分かった.

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