岡 亮介

分布型流出モデルによる洪水到達時間式の評価

陸 旻皎

本検討は、「分布型流出モデルによる洪水到達時間の評価」と題して、研究を行った。この分布型流出モデルから導出されたTc=3.8×10-4{Lmax+A(2Lmax)-1SLmax-0.3Rv-0.4}(以下、中川式と呼ぶ)は、モデル流域が魚野川のみの一河川でのみの解析結果であり、他河川への再現性の評価が不十分であった。本検討では、留萌川、黒川、刈谷田川、渋海川、早出川、北川、土器川の七河川で中川式および角屋式での洪水到達時間の算出し、真値としたハイドログラフとの洪水到達時間の比較をおこなった。解析法として、Nippon KOEI-Geographic Information Analysis System(以下、NK-GIASと呼ぶ)を用いて、算定式中の必要な地理因子である流域定数、流域面積、最遠点流路延長、最遠点流路勾配の解析をし、そこから洪水到達時間を求めた。ハイドログラフからは「国土交通省 水文水質データベース」より、対象河川の各観測所を調査し雨量および流量の過去観測データを入手し、これよりハイドログラフの作成を行い、真値とした洪水到達時間を決定した。各算定式と真値との比較では、洪水到達時間の差が大幅にあり、各河川における洪水到達時間の統一性も無く、よい結果ではなかった。だが、角屋式と中川式においては、丘陵山林地域では同程度の精度であり、また、留萌川と土器川の比較においては、留萌川は1時間の誤差、土器川においては、2時間の誤差であり、流域によって精度が大きく異なることがわかった。よって、中川式は丘陵山林地域では、角屋敷とは同程度の精度であり、流域によってはかなり高い精度となることが結論される。今後の展望として、今回の検討では、角屋式中の流域定数が290の丘陵山林地域としたが、流域定数が小さい市街地などの流域の解析を行う必要がある。また。真値としたハイドログラフだが、各観測所の雨量、流量のデータは1時間毎であり、これが誤差の要因となった可能性があるので、10分単位などの、より小さな観測幅でのハイドログラフ作成が重要である。

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