Israel Eduardo Rendon Villalon

要素実験によるワイヤブラシの止水性能に関する研究


杉本光隆

ケーソン工法は,オープンケーソン工法(opened caisson method)とニューマチックケーソン工法(pneumatic caisson method)の2つに分けられる.本研究はニューマチックケーソン工法についての検討を行っている.
ニューマチックケーソンの函内(作業室)は,地下水圧に対抗するため高い気圧となっている.そのため函内の有人作業では,減圧症の発生が最も注意するべき問題点として挙げられる.現在ニューマチックケーソンは技術開発によって施工時には完全無人化を実現できているが,掘削機がトラブルを起こした際のメンテナンス作業や,最終的な掘削機解体・回収作業時には有人作業に頼らざるを得ない.現在約0.7MPaまでは函内での有人作業が可能となっているが,それ以上の気圧下では減圧症の危険性が高まるとして作業が不可能となっている.函内0.7MPaは単純に静水圧で考えると,地下水位の高さにもよるが約70mの深度となる.これよりニューマチックケーソン工法は約70mを越える深度では施工が難しいとされている.
しかし70m深度を超えても,函内の気圧が0.7MPa以下であれば施工は可能となる.そもそもニューマチックケーソン工法での圧気は函内に水が浸入しないようにするためのものであり,水の浸入を抑えることができれば圧気圧を下げられる.そこでケーソン躯体に止水装置を設置することによって函内への圧気を抑え,70mを超える深度においても函内の気圧を0.7MPa以下に抑える工法が提案された.
ケーソン躯体につける止水装置は,ワイヤブラシ間にグリスを充填し,水圧に耐えられるような構造をとっており,これはシールドマシンのシールドテール部で使用されているシステムを参考にしている.この装置を使用する前提として,装置に接触している掘削面は不透水層である土丹層としている.
本研究では,提案した止水装置が,実際に止水能力を有しているのか,また,どの因子が止水能力に影響を与えるか要素実験を行って検討した.その結果以下のことがわかった.
1)提案した止水装置は模擬棒(凸凹)がない状態ならば,1.5MPaの水圧に耐えられることができる.
2)模擬棒がある場合,グリス圧に一番影響を与えるのは高さである.
3)グリス圧には「クリアランスが小さいほど最大グリス圧が上がる」,「スリットが厚いほどグ最大グリス圧が上がる」という傾向が見られる.

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