マイカ混じり砂の変形・強度異方性に関する研究
豊田浩史
基礎・地中構造物を合理的に設計・施工するためには，地震応答解析を詳細に行う必要がある．そのためには，正確なせん断弾性係数が必要不可欠である．また，実地盤はほとんどが異方的であるにもかかわらず，異方性が微小ひずみレベルの変形係数にどの程度影響を与えるのか現状では詳しく分かっていない．異方性には固有異方性と誘導異方性があり，本研究では前者に着目した．そこで，豊浦砂，マイカを対象にして堆積面の角度を変え，室内試験から微小ひずみレベルの変形係数を求めることのできる局所ひずみ測定（以後，LSS試験と称す）試験，およびベンダーエレメント試験（以後，BE試験と称す）を同時に実施し，固有異方性が強度・せん断弾性係数にどのような影響を与えるのか検討した．
以下に本研究で得られた知見を示す．
1.豊浦砂では，10-5のひずみレベルまで，ほぼ一定のせん断弾性係数（線形弾性挙動）を示すが，マイカが混入されると，線形弾性的な挙動を示すのは，さらに小さなひずみレベルとなる．
2.全てのマイカ混入率で，水平方向から堆積面の角度が大きくなるにつれて，せん断弾性係数は大きくなる．
3.扁平な土粒子を多く含むほど，微小ひずみ領域のせん断弾性係数は固有異方性の影響を大きく受ける．つまり，微小ひずみ領域ではマイカの大きな扁平率が固有異方性に影響を与えている．
4.マイカを含む試料では，排水強度に関して，固有異方性の影響を確認できなかった．これは，せん断中にマイカ粒子が破砕して，異方性がなくなる可能性が考えられる．
5.配向性を有した状態で堆積面の角度が大きくなると，排水強度と初期せん断弾性係数は逆の傾向を示す．
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