武田 成史
不飽和土のせん断速度による強度異方性に関する研究
豊田 浩史
地盤の安定解析にはそれぞれの地点の応力状態に対応するせん断強度を用いることが重要である.不飽和土地盤の強度特性に及ぼす影響として,土中のサクションの大きさ,せん断中の排気・排水条件,土質材料の物理的性質などの影響因子がある.昨年の研究では,不飽和土非排水せん断試験で,せん断速度毎分0.05%のとき,強度異方性が発現することが確認されている.
そこで本研究では,3次元応力状態を再現できる中空ねじりせん断試験装置を用いて,不飽和粘性土の強度異方性の有無を確認することを目的とする.試験方法は,加圧板法でサクションを400kPa載荷し,供試体を不飽和化させる.そして,その不飽和粘性土に対して様々な方向から異方圧密を行い,せん断速度を変化させてせん断試験を行った.なお,せん断試験でのせん断速度の変化は毎分0.005%,毎分0.05%,毎分0.5%,毎分5%と1000倍変化させた.その結果をもとに不飽和粘性土の強度特性に及ばすせん断速度の影響を解明することを目的とする.また,飽和土非排水せん断試験の結果より推定したサクションの値から不飽和土の強度を求める式の提案を行った.
本研究で得られた知見を以下に示す.
1.せん断速度の影響
不飽和土非排水試験では,せん断速度の影響に関係なくは強度異方性が発現する.また,割線せん断弾性係数はせん断速度とともに大きくなる
2. 不飽和土の強度異方性の予測
飽和土と不飽和土のせん断中の間隙水圧増分の傾向がよく似ていることが今回の試験より確認された.このことから飽和土の間隙水圧から不飽和土の強度を求められる可能があることを示した.
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