政井 雄大
新潟県沿岸域へ到達する可能性のある津波の予測について
犬飼 直之
新潟県は日本海沿岸に位置しており,たびたび津波の被害を受けている.津波による被害の軽減には,津波を沿岸で食い止める防波堤の建設が挙げられ,その高さの設定には津波の高さを予測する必要がある.また,実際に地震が起きた際に津波の有無や規模を迅速に判断する必要がある.地震調査委員会(2003)は日本海東縁部で発生する可能性のあるM7.5以上の地震について,その地震の規模,発生間隔,発生確率を推定している.その情報を用いて,過去の津波発生地震と予測される地震を比較することで津波の規模を予測することができる.
そこで.本研究では,地震調査委員会(2003)により推定された日本海東縁部の地震発生予測を参考に,地震津波の発生時期を推定し,また気象庁発行の地震年報(2009)の情報もあわせて利用して地震発生時の津波発生の可能性や,津波到達時間,規模などを推定した.
地震調査委員会(2003)による推定の結果から,今後50年以内に日本海でM7.5以上の地震が起こる可能性が最も高いのは佐渡島北方沖で発生確率は5~10%である.また想定される地震の規模はM7.8程度である.この地震により,新潟県沿岸域に到達する津波の高さを予測すると,新潟地震M7.5における最大水位変動量は4.9mであったが,予測される地震エネルギーはM7.5より大きいM7.8であるため,最大で5m以上になる可能性がある.また,津波の第一波は最短で10分程度で新潟県沿岸域に到達する可能性がある.
また,能登が提案した津波発生を伴う地震の地震エネルギーと震源深さの関係式:M = 0.0051 D + 6.21を更新し,M = 0.0044 D + 6.21を得た.これは,M6.21以上の地震で海面が変動する可能性が高くなることを示している.さらに,津波発生判断モデルに最大水位変動量と震源の水深のデータを加え検討した結果から,最大水位変動量は地震エネルギーが増大すると増加傾向にあり,震源が深くなると減少傾向にあることがわかった.また,震源の水深が1000m程度から約4000mで最大水位変動量は増加傾向にあることがわかった.最大水位変動量はM6.5以上で1m程度,M7.3以上で3m以上になる可能性があり,3m以上のような大規模な津波が発生するには1000m程度以上の水深が必要であり,約4000m以上では最大水位変動量は減少傾向にあるという結果が出た.
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