ken11202

西川　佑樹

飽和砂地盤における杭の鉛直支持力特性に関する実験・解析的考察

大塚　悟

杭基礎の設計鉛直支持力の妥当性は杭の鉛直載荷試験によって確認することができるが，鉛直載荷試験の結果を活用するにあたり，飽和地盤では過剰間隙水圧の影響を考慮する必要がある．このとき，静的載荷と急速載荷では排水条件が異なり，排水条件の違いが杭の鉛直支持力特性に影響を与えるとされているが，この影響に関して十分な研究実績が蓄積されているとは言えず，未解明な点が多い．本研究では，飽和砂地盤に着目し，杭の鉛直支持力特性の把握を目的として杭の鉛直載荷模型実験（静的載荷，急速載荷）と数値解析を実施した．
模型実験では，急速載荷模型実験では重錘を落下させることで急速載荷を行うFM(Falling Mass)試験をモデル化し乾燥砂地盤と飽和砂地盤における，杭の鉛直支持力特性の把握を行った．その結果，飽和砂地盤に対して杭の静的載荷を実施した場合，過剰間隙水圧が生じても，地盤は排水状態であるため，鉛直支持力こそ乾燥砂地盤の方が大きな値を示すが，周面摩擦力や先端支持力，杭体に生じるひずみや軸力に関しては，過剰間隙水圧による影響は小さいという結果が得られた．また，急速載荷実験では瞬間的な載荷により，地盤は非排水状態となり地盤内部ではせん断変形が発生し，その箇所が膨張したため杭直下で負の過剰間隙水圧が生じたものと考えられ，載荷荷重の幾らかは水圧が受け持つものと推察されるため，杭の変位量は抑制され，杭先端支持力が過大に評価される傾向にあり，周面摩擦力は過小評価される傾向にあることが示唆された．これにより，飽和砂地盤における急速載荷では，過剰間隙水圧の影響を無視できないということが確認された．
数値解析では，土－水連成解析により過剰間隙水圧を考慮した3次元弾塑性有限要素法を用いて解析し，模型実験結果との比較により解析モデルの妥当性を検討した．その結果，土－水連成を行ったFEM解析を用いて，本模型実験結果をシミュレートしたところ，高い精度での表現が可能であることが確認された．これにより，杭基礎の変形予測に土-水連成FEM解析が有効であることが確認された．また，土-水連成FEM解析により，地盤内の応力状態や水圧の挙動などを把握することが出来た．

前のページに戻るには"戻るボタン"で戻ってください。