ken11101

名前　稲垣　皓介

論文題目　基層にHPMを用いた伸縮分散型埋設ジョイントの疲労破壊抵抗性に関する研究

指導教員　高橋　修

伸縮分散型埋設ジョイントは，道路橋のジョイント部におけるアスファルト舗装を連続化し，桁端部の変位による応力・ひずみを舗装体に分散吸収させる工法である．格子パネルを用いた伸縮分散型埋設ジョイントの基層には柔軟性や伸縮性に優れたグースアスファルト混合物が使用されている．しかし，グースアスファルト混合物は，製造や運搬の不便であること，コストが高いこと，原料が入手困難であることなどの問題がある．そのため，グースアスファルト混合物に替わる埋設ジョイントの基層用アスファルト混合物として，特殊添加剤を使用したHigh Polymer Mixture（HPM）が提案された．
本研究では，基層にHPMを用いた伸縮分散型埋設ジョイントの疲労破壊抵抗性を評価することを目的に，表層アスファルト混合物の種類を変えた二層構造の埋設ジョイント舗装体に対して，曲げ疲労試験を実施した．その結果を，既往のグースアスファルト混合物を用いた場合のものと比較し，HPMの埋設ジョイントの基層に対する適用性について検討した．また，HPMの単体としての基本的な物性を確認するため，静的曲げ試験，直接引張試験および曲げ疲労試験を実施し，たわみ追従性，伸縮性および疲労破壊抵抗性を評価した．さらに，基層にHPMを用いた場合の二層構造の埋設ジョイント舗装体に対して，層間付着強度試験を実施し，疲労破壊抵抗性の改善についても試みた．
その結果，HPMの単体としての物性は，グースアスファルト混合物よりもたわみ追従性，伸縮性および疲労破壊抵抗性に優れていた．また，二層構造の埋設ジョイント舗装体では，基層にはグースアスファルト混合物よりもHPMを用いるほうが，埋設ジョイント舗装体の疲労破壊抵抗性は高くなった．中でも，基層にHPMを用いる場合は，表層に改質Ⅱ型より高耐久型のバインダを用いたアスファルト混合物を使用するほうが疲労破壊抵抗性は高くなった．基層にHPMを用いた場合は，層間付着強度が埋設ジョイントの疲労破壊抵抗性に与える影響は小さいが，基層にグースアスファルト混合物を用いた場合は，層間付着強度を高くすることで埋設ジョイントの疲労破壊抵抗性を改善できることがわかった．
以上より，本研究の結論として，HPMは従来の基層用アスファルト混合物であるグースアスファルト混合物に比べ，かなり優れた疲労破壊抵抗性を有しており，埋設ジョイントの基層に対する適用性は高いといえる．

前のページに戻るには"戻るボタン"で戻ってください。