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小林達也

準都市計画区域の運用実態と今後の運用手法に関する研究

中出文平、樋口秀、松川寿也

準都市計画区域は平成12年に新設された制度であり、土地利用を整序、又は環境を保全するための措置を講ずることなくそのまま放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがある区域に対し指定することが可能な区域である。
平成18年の都市計画法改正以前は、準都市計画区域の決定権者は市町村であり、既存集落周辺や幹線道路の沿道、高速道路のIC周辺等を中心に、開発・建築行為が集積している地域を各市町村の実態に合わせ、いわばスポット的に準都市計画区域を指定する制度であった。また、農用地区域や保安林などの都市計画法以外の法令による土地利用規制の厳しい区域については、上記の区域要件を満たす状況になる事が想定されないことより、都市計画運用指針では農地や森林などについては「含めないことが望ましい」とされていた。市町村が決定権者時の問題点は、スポット的に準都市計画区域を指定していたため、その区域を避け指定区域外に開発が起こるなど、効果的に開発を抑制出来ていない点であった。そこで、平成18年の法改正により決定権者を従来の市町村から都道府県に変更し、広域の観点から土地利用の整序と環境の保全を図ることとした。また、農用地区域と準都市計画区域の重複指定が可能となり、散発的な都市的土地利用による環境の悪化や土地利用の混乱等を未然に防止し、土地利用の整序又は環境の保全を行うこととした。
既往研究の川崎の研究では、準都市計画区域に関する法制度上の問題点について網羅的に述べているが、即地的な準都市計画区域の指定効果や実態についての詳細や今後の活用方法については言及されていない。
そこで、本研究では準都市計画域の様々なパターンを考慮した詳細対象都市を選定し、準都市計画区域を指定した経緯を把握し、市町村決定と都道府県決定の区域の相違や土地利用動向、指定による効果の実態を明らかにする。それに基づき、今後の準都市計画区域の在り方について提言をすることを目的とする。
研究の結果、①市町村決定の事例では、平成18年の法改正以前の問題点である準都市計画区域の指定を避けて区域外に開発が起きている箇所が見受けられたこと、②準都市計画区域は都市地域の指定をせずに短期間で区域指定ができ、早急に土地利用制序が行えること、③準都市計画区域を都市計画区域指定までの補完として活用し、土地利用整序を行うことができたことが明らかになった。

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