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赤井瑛

政令市移行による都市計画区域再編の経緯と課題に関する研究
－新潟都市計画区域第５回定期見直しの経緯と課題－

中出文平、樋口秀、松川寿也

「平成の大合併」により、全国的に市町村合併が進んだ結果、複数の都市計画区域が併存する市町村が数多く発生することとなった。原則的に１自治体に１つの都市計画区域とされていることもあり、都市計画区域の再編は全国的に検討されている。また、政令市は、区域区分が必須となっており、政令市移行した都市では都市計画区域の再編がなされている。
本研究では、平成19年に政令市移行した新潟市を対象として、①都市計画区域再編を成し遂げるまでの経緯、②都市計画区域の範囲についての議論、③用途地域等を市街化区域に編入する際の根拠、④市街化調整区域とせざるを得なかった区域への対応の４つの視点を持って、政令市移行による都市計画区域再編の経緯と課題を明らかにし、その際の知見を得ることで区域区分制度の在り方を考えることを目的としている。
新潟市の場合は、都市計画区域と非線引き都市計画区域、そして都市計画区域外が混在していた全域を区域区分した。視点①では、新潟都市計画区域再編の経緯を主にヒアリング調査を行うことで明らかにしている。視点②については、新潟市は、広域的な視点からまちづくりを提案する必要があると考え、全域再編を選択している。また、人口フレームを考える際、「政令市効果」と「団塊世代のふるさと回帰効果」を加味して将来人口を推計した。しかし、将来人口推計と実際の人口推移とでは大きな差が生じており、今後の見直しが必要なのではないかという問題が生じている。視点③について、新潟市は用途地域については市街化区域にするという方針を立てており、用途地域で唯一既成市街地要件を満たせなかった漆山地区についても「概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」として市街化区域へ指定したという経緯が明らかになった。市街化区域の設定は、用途地域廃止をせず、住民の意に沿った、計画的な指定を行えていると言える。視点④については、３巡の住民説明会で出された住民意見と、都市計画基本方針で提案された、「田園集落づくり制度」を受け、「補完制度」を提案した。これの活用によって市街化調整区域の維持活性化を図っている。
以上の４つの視点から得られた知見より、今後の区域区分制度の在り方として、新潟市のような広域な合併を経て区域区分を必要とした場合は、全域再編をすることが好ましく、必要に応じて市街化調整区域でも開発が可能になる条例を設けて、広域的なまちづくりをすることが望ましい。

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