西村 旬二郎
長岡市地域住民の防災意識変化の構造化と自主防災組織の変化
佐野 可寸志
平成23年に東日本大震災が起こり,日本中が災害の恐ろしさを再認識させられ,人々の防災に対する意識は高まっている.大規模災害の経験によって人々は,公助の限界と自助・共助の重要性を認識し,現在では各地の市町村や町内会などの地域コミュニティにおいて自主防災組織が設立され,地域防災力の向上を目的とした取り組みが行われている.
本研究では,自主防災会に着目し,長岡市で現在結成されている自主防災会活動の現状や課題を把握したうえで,地域の防災力向上に向けた自主防災会や防災関連団体の取り組みを提案することを目的に個人の地域防災力に対する意識や実際に行っている活動・対策について調査・分析を行った.また,平成21年に行った同調査の結果と比較することにより,東日本大震災の影響や住民の防災意識の変化について調査する.
まず,自主防災会活動状況アンケート調査より自主防災会長の視点からの自主防災会活動の現状と課題を把握した.長岡市で現在結成されている自主防災会は3年以上前に結成されたものが高い割合を占めており,受身的な理由で結成された自主防災会が多い.また,住民の防災意識が向上しないことを問題視している自主防災会が以前のアンケート時から引き続き多い結果となった.
次に,防災活動状況アンケート調査より地域活動の現状と自主防災会結成に向けた課題を把握した.自主防災会を結成していない町内会では,訓練といった防災活動を行っている町内会は平成21年に比べ減少した.自主防災会の結成に向けた課題として,人材不足が多く挙げられ,解決には自主防災会活動のアピールが重要である.
さらに,長岡市地域住民を対象として行った防災意識に関するアンケート調査を基に,住民の視点から自主防災会の役割を明らかにし,防災意識構造モデルの構築を行った.共分散構造分析を用いて防災意識構造モデルを構築し,東日本大震災が防災意識に対する影響力は小さく,情報を欲することが防災力向上に繋がると考えられることがわかった.
以上のことより,自主防災会の役割として,災害時,避難誘導といった活動をスムーズに行えるように準備しておき,自主防災会がどのような活動を行なっているかなどを地域住民に知ってもらう機会などを増やしていくことが防災意識の向上,また地域防災活動を活性化させるために重要であると結論付けた.
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