長井 大樹

柏崎刈羽原子力発電所の事故発生時避難シミュレーションの開発

佐野 可寸志

先日発生した東日本大震災による被害で福島原発は被災し、緊急事態宣言が発令されたために多くの住民が避難する事態になった。これを受けて柏崎刈羽原発でも福島原発と同等の事故が発生した場合に対する新たな避難計画を策定する必要がある。そのため柏崎刈羽原発での災害時の交通状況をミクロ交通シミュレーター「Paramics」を用いて推定する。
避難対象地域は柏崎刈羽原発から半径30kmの範囲とする。シミュレーションに必要なOD表の作成にはH22年道路交通センサスと市町村の地区別世帯数データ、小中学校の校区・児童数データを使用する。ODは小中学校の送迎&帰宅ODと自宅への帰宅OD・避難範囲外への避難ODの3種類に分類しそれぞれ求める。使用するデータは基本的にBゾーンのものだが今回のネットワークはBゾーンではゾーン1つあたりの範囲が広すぎるために、これを町丁目別に最大5つに分割して使用する。そのためOD表もそれに合わせてBゾーンのデータを町丁目別世帯数の比で分配する、
作成したOD表をそれぞれ12時間に時間帯配分し、シミュレーションを行った結果、避難時間は13時間27分となり、ネットワーク内からボトルネックを6箇所抽出した。
シミュレーション結果から避難時間短縮のために抽出したボトルネックの地点の改良とスマートICの追加を行う。改良方法としてはICではETCレーンを1車線追加し信号交差点では改良前の交差点需要率の最大値が0.8以下になるように信号青時間を増加させた。その結果避難時間は17分短縮された。次にネットワーク内にスマートICを1箇所設置し、交通状況の変化を調べた。その結果避難時間は8分短縮され、ボトルネック修正と合わせると23分の短縮に成功した。
本研究では柏崎刈羽原発から半径30kmの範囲でネットワークを作成し3種類のOD表を用いてシミュレーションを実行した。その結果避難時間は13時間27分となり、さらにネットワーク内から6箇所のボトルネックを抽出した。次に避難時間の短縮のための施策としてボトルネック地点の改良とスマートIC追加という方法を実行した。その結果ボトルネック地点の改良では改良前に比べて避難時間を17分短縮、スマートICを追加した場合は8分間短縮し、両施策を導入した場合は23分の避難時間の短縮に成功した。今後はネットワークの信号オフセットとICの設定の改良とアンケート実施によるOD表の作成による、よりリアリティのあるシミュレーションの作成が課題となる。


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