中村泰宏

新潟市におけるレンタサイクルの利便性向上に関する研究

佐野可寸志

近年、過度な自動車への依存によって都市部における交通渋滞や、自動車の排出する二酸化炭素による地球温暖化、運動不足による生活習慣病の増加などが社会的に問題となっている。
これに伴って、自動車依存から脱却するために自転車利用の促進が提言されることが多く、米国では自転車政策に500億円以上の予算をつぎ込むほか、日本国内においてもさまざまな自治体が自転車を活用するまちづくりを推進する取り組みを行なっている。
近年、コミュニティサイクルと呼ばれる自転車共同利用サービスがパリ・ロンドン等の欧州都市を中心に広がりを見せており、世界各地で行われている。
国内においても自動車依存からの脱却や都市部における放置自転車削減、公共交通の推進、賑わいの創出を目的に多くの都市で社会実験が盛んに行われ、一部の地域では本格運用もされている。
コミュニティサイクルとは、自転車貸出サービスの一種であり、一定の地域において複数のステーション、あるいはポートと呼ばれる駐輪・貸出が行える設備を配置し、利用者はどのステーションにおいても自転車の貸出・返却ができるシステムである。
このような自転車の共同利用のシステムは、地域経済の活性化や違法駐輪の削減、交通渋滞の緩和・二酸化炭素排出量の削減に寄与する。
新潟市では、古町・万代地区など一部の地区において平成14年より有人によるコミュニティサイクルである「にいがたレンタサイクル」が稼動しており、行政においても「歩行者と公共交通を中心とした交通環境」と「公共交通と自動車による軸」による都心アクセスを基本とした交通戦略に取り組んでいる。
本研究では、都心部の賑わいや魅力の創出、末端交通としての役割を担う自転車交通システムである「にいがたレンタサイクル」の利便性の向上や利用者増加に寄与する施策を検討することを目的とした調査・分析を行い得た知見から、現在のステーション配置の妥当性や新たなニーズのある箇所・料金体系のあり方・新規利用者を得るための方策を提案した。

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