石井 歩未

機関分担・配分統合モデルを用いたロードプライシング導入による効果分析

佐野 可寸志

本研究では新潟市におけるロードプライシングの効果分析を行った。新潟市の車の割合は70%で、公共交通の割合は5%である。これは、全国平均に比べると、新潟市が車に依存している車社会である事がわかる。よって、新潟市では、慢性的な渋滞が発生している。特に新潟市内へ流入する高速道路やバイパスのインターなどで渋滞が発生している。これにより、バスの定時性や速達性に影響を与えていると考えられる。これらの問題を解決する為に新潟市ではオムニバスタウン計画など公共交通の利便性向上を目的とした施策を実施しているが、車の割合は減少していない。この様な渋滞問題等を解決する為の手法として交通需要マネジメントがある。本研究ではこの交通需要マネジメントの一つであるロードプライシングに着目し、新潟市におけるロードプライシングの効果分析を行った。
ロードプライシングへの受容意識を調査したアンケート結果より、渋滞が減少するのであれば、ロードプライシングに賛成的であることが分かった。しかし、現状の公共交通のサービスレベルではロードプライシングの実施は難しいと考えられる。アンケートでは、車を利用する意思が強く、車の使用を制限される施策には消極的な結果となった。
また、市内への来訪客の減少や、課金の使い道等、様々な課題が挙げられる。しかし、公共交通の利便性が向上したら利用したいとの意見が多い。これより、公共交通の促進によって、交通手段を変更する人もいると考えられる。このことから、ロードプライシングの実施は公共交通の利便性向上が前提条件であると言える。
次に、非集計ロジットモデルよりパラメータを推定し、交通手段選択要因を分析した。分析結果より、課金後の交通手段選択に影響を与える要因として、乗車外時間、所要時間、所要費用となった。特に乗車外時間は一番影響を与える結果となった。よって、課金後の交通手段選択では通勤にかかる時間が大きな要因であることが分かった。
次に、機関分担配分統合モデルを用いてロードプライシングの効果分析を行った。課金エリア内では交通量と混雑度は減少した。しかし、課金エリアの外では、交通量と混雑度が増加した地域もあった。よって、課金エリアの設定によっては、他の地域で渋滞が発生する可能性があるとわかった。今後は、課金エリアや課金額の設定などが課題として挙げられる。

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