森山 直人
衛星画像を用いた被災農地の復興状況把握に関する検討
力丸 厚 坂田 健太
今日、リモートセンシング技術は陸域・大気・海洋を面的に捉え観測することが可能である。この広範囲にわたるデータを収集することが容易に出来るリモートセンシング技術は、農地分布への応用にも期待が寄せられている。また2011年3月11日14時46分18秒(日本時間)、宮城県牡鹿半島の東南東沖130km の海底を震源として発生した東北地方太平洋沖地震は、日本における観測史上最大の規模マグニチュード9.0を記録した。この地震により、津波10m 以上、最大遡上高40.5m にも上る大津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沖沿岸に壊滅的な被害をもたらした。震災と津波の影響は大きく、農地にも大きな影響を与えた。農地を再び使用するには、瓦礫の撤去のほか、塩分を抜く作業などが必要となり、1〜2年かかる可能性がありと言われていて非害の大きさは凄まじいものである。そして、津波被害を受けた農地の復旧作業は被災した2011年から始められ、被災1年後の2012年3月11日には被災農地の3割強の4855ヘクタールの復旧作業が終了したと農林水産省が発表した。そこで本研究では、衛星画像を用いて農地情報を抽出し、作付け有無の判別を表す農地復興状況把握図を作成することで、2ヵ年に渡って復興した圃場、復興していない圃場の把握について検討することを目的とした。結果より、NDVI値のみの判別では水稲と雑草の繁茂している区画の判別が困難であったが、3時期の近赤外バンドを用いたカラー合成画像を合わせて使用することで、それら区画の違いを確認することが出来た。また、除塩されたエリアの区画では2011年にまったく作付け有りの区画が無かったが、2012年に8割の作付け有りの判別結果を得ることが出来た。しかし、細かな部分では現地の状態とそぐわない判別結果の区画があるが、それはNDVIの抽出の際に、農地外の物の影響を受けてしまい、区画内のNDVI値が閾値より僅かに低くなってしまった可能性が考えられた。
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