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小山祐介

地上レーザスキャナを用いた水稲生育計測における観測角の影響の検討

力丸厚、高橋一義

水稲を真上からレーザスキャナ計測(和泉ら，2010)し，1つの水稲株において3次元形状特性を把握することで，面的な生育診断手法の可能性が示唆された．しかし，水稲を真上からレーザスキャナ計測するには，圃場の一角に観測用フレームを設置しなければならない．既存研究では，斜めから圃場を計測することにより，圃場全体の計測を行う手法を提案している．
しかしながら，地上レーザスキャナの設置位置により対象圃場への観測角度が異なり，観測結果に影響を及ぼすことが考えられる．　
本論文ではこの点に着目し，地上レーザスキャナによる圃場計測において，レーザ観測角が取得データに及ぼす影響について検討することを目的とした．
実験は，地上レーザスキャナによる圃場計測は，水稲の生育期である7月初旬から8月下旬の期間において行った．また，計測は二重の器械高により行い，その取得データを比較することで，レーザ観測角の変化が及ぼす影響を検討した．
解析の際には，事前に刈り取り後の圃場の地盤データを使用することで圃場全体の草冠高さマップの作成し，圃場の状態を把握した．また，水稲高さごとのレーザデータが取得出来た最長距離を求めることで，水稲の生育状態を把握した．
観測角の影響を解析する際には，水稲を高さ別に複数の層に分け，それぞれの層に存在する点群数を求めることで，水稲高さ別の点群取得特性を求め，水稲の成長段階ごとの観測角の影響を考察した．
また，既存の研究で提案された移植日からの経過日数とレーザ計測可能距離の関係把握による水稲生育状態の把握について，器械高が変化した場合にも適応可能かを検討した．
これらのことから，観測角については，以下のことが結論として導き出された．
① 水稲の成長が小さい状態であるとき，観測角による影響は小さい
② 水稲の成長が大きい状態であるときは，近距離の水稲下部において観測角の影響は大きいが，出穂した後は，観測角の影響は小さくなる．
③ 　観測角が3°以上変化する場合，観測角の影響は大きくなると考えられる．
④ 　観測角が増大した場合，移植日からの経過日数とレーザ計測可能距離の関係における水稲の成長の時系列変化との相関は大きくなると考えられる．

　以上のことから，圃場のレーザスキャナ斜め計測における観測角の影響を把握することが出来た．（951文字）

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