杉山友加里

新しい降水量測定方法と従来の降水量測定との比較検証に関する研究

熊倉俊郎

転倒ます型雨量計は日本では,気象庁をはじめ地方公共団体や運輸・電力等の事業者が広く使用している。一方,田村式降水強度計は受水器で検出した降雪をヒータで融解し,ノズルにより水滴とし,これを光電センサーで検出し降水強度を約0.005mm 単位で計測するものである.従来から単位時間(通常1分)の間に滴下する滴下数をカウントして降水量に変換することで降水量を測定していたが,滴下時間間隔が降水量によって変化することを利用して,新たにその時間間隔を用いた降水量の測定を実験室にて行い,時間間隔と降水量の関係式が導出された.一方で、転倒ますの場合,1時間当たりの左右交互に転倒する回数を数えることによって雨量が測られ、0.5mmずつ測る.しかし,田村式降水強度計により滴下間隔時間で雨量を算出すると,転倒ますよりも細かく降水量が記録されるので同じ条件で測定すれば転倒ますよりも有効である.そこで実際に降っている雨量について転倒ますを使用して得られた雨量データと田村式降水強度計を使い,滴下時間間隔を用いて実験室で算出したデータを比較し,検証することを目的とした.そこで、製造元の屋上で計測された田村式降水強度計の雨量計データを使用する.同時に転倒ます型雨量計を併設して測定し、2012年1月7日から2012年7月25日までのデータを用いた.転倒ますを使用して得られた雨量データと田村式降水強度計を使い滴下時間間隔を用いて実験室で算出した式を使った時間雨量、ドロップ数積算を考慮した場合の時間雨量、3時間雨量の三つの場合を比較、検討した。そして、相関係数が0.98〜0.99だったことから,転倒ますの降水量と計算式の降水量に相関性があること、ドロップ数積算のデータを用いないと正しく解析できないこと、相関性のなかった点は今回の集計では避けられない誤差であり,滴下間隔から求めた降水量に0.92〜0.94をかけると転倒ますの降水量になり、補正しないと転倒ますより過大に評価されていること、また、その原因は室内実験(計算式)もしくは測定器及び測定環境にあると考えられることがわかった。

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