氏  名:根岸瑞希

論文題目:降雨による斜面崩壊に与える地下水位の影響

指導教員:豊田浩史

 降雨時の斜面崩壊は斜面内の水分量と関係が深いと考えられる.土の水分量が増加することにより,自重の増加によるせん断応力の増大とサクション消失によるせん断強度の減少が発生する.そのため,斜面の安定性を定量的に評価するためには,斜面内の水分分布やその強度特性を把握する必要がある.
本研究では,排水状況による斜面内の水分分布を特定するために,履歴降雨の影響を考慮した降雨による模型斜面崩壊実験を3パターンの異なる構造の排水機構で実施した.そして,斜面崩壊に至るまでの各パラメータと崩壊メカニズムの関連を検討するために,①地下水位の変化②サクションの変化③降雨浸透による地盤の含水率④地表面変位を計測した.
また,強度特性を把握するためにせん断試験を実施した.しかしながら不飽和土のせん断試験は時間を要する・試験装置が高価・試験の複雑さなどの問題を抱えていることより実用的でない.そのため,本研究では,不飽和土用の特殊な試験装置を必要としない通常のせん断試験から,不飽和土の強度特性を求める手法にて強度定数を求めた.そして,降雨による模型斜面崩壊実験,不飽和土のせん断試験の結果をもとに,汎用解析手法にて斜面安定解析を実施した.
 本研究で得られた結論を以下に示す.

1. 簡易法で求めた力学試験結果を用いた斜面安定解析は,実験結果とある程度整合しており,本手法の妥当性が検証された.
2. 模型斜面の崩壊は,斜面内の地下水位に大きく依存していた.
3. 深さ50㎝程度の模型斜面では,飽和土の粘着力を精度よく求める必要がある.

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