ken11108

熊本桂子

特殊添加剤による埋設ジョイント基層混合物の改質効果

高橋　修

道路橋ジョイント部の段差において問題となっている車両走行時の振動や騒音を抑制する工法として，埋設ジョイントが運用されている．その一型式である格子パネルを用いた伸縮分散型埋設ジョイントは，連続性が優れ適用性が高いことから，多くの施工実績がある．この埋設ジョイントの基層にはグースアスファルト混合物が用いられている．グースアスファルト混合物は，高温時に流動性がかなり高いため，ローラ転圧を必要としない流し込み施工ができる．さらに，格子パネル内部でも混合物の空隙が極めて少なく，水密性，耐水性，耐摩耗性，および変形追従性に優れていることから，伸縮分散型埋設ジョイントの基層に標準的に用いられている．
しかし，グースアスファルト混合物は以下のような問題点がある．
①施工温度が高く，冬期における温度管理が難しい．
②バインダ素材である硬質ストレートアスファルトと天然アスファルトの生産が激減している．
③流動抵抗性がかなり低く，流動によるわだち掘れが発生しやすい．
特に③は埋設ジョイントの耐久性に直結していることから重要で，グースアスファルト混合物の代替となる混合物が必要とされている．
　本研究では，グースアスファルト混合物の代替として開発された高弾性ポリマー改質アスファルト混合物について検討した．本研究の目的は，特殊添加剤の添加量と全体のバインダ量を適正に選定するとともに，その混合物性状を既往のグースアスファルト混合物と比較して適用性と優位性を確認することである．
特殊添加剤の添加量およびそれを含むバインダ全体量は，伸縮分散型埋設ジョイントの基層に必要な流動抵抗性能から選定した．そして，選定した配合条件で作製した高弾性ポリマー改質アスファルト混合物が，伸縮分散型埋設ジョイントの基層に必要な変形追従性や伸縮性等を満たしているかどうか評価した．さらに，格子パネル内への混合物の充填性についても検討した．これらの物理的性状を把握して，グースアスファルト混合物の性能と比較した．
　これらの検討より，以下の知見が得られた．
①高弾性ポリマー改質アスファルト混合物の混合温度は200~210℃で，グースアスファルト混合物より低温で混合できた．
②特殊添加剤の添加量17.5%，バインダ量16%で目標動的安定度1500回/mmを達成した．
③高弾性ポリマー改質アスファルト混合物は，グースアスファルト混合物以上の物理特性を示した．
以上の成果により，高弾性ポリマー改質アスファルト混合物は，伸縮分散型埋設ジョイント基層への適用が可能であると評価された．

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