吉田 和也

疑似引張試験による新しい改質アスファルトの性能評価に関する研究

高橋 修

1960年代からの自動車交通量の増加に伴い,舗装のひび割れやわだちぼれの増加が問題となりそれに対応したアスファルトとして開発されたのが改質アスファルトである.改質アスファルトは重交通道路の流動対策,積雪寒冷地域の摩耗対策,橋面舗装等に幅広く使用されており,道路舗装工事で改質アスファルトが占める割合は拡大を続けている.改質アスファルトに用いられる改質材は,求められる性能によりSBSやSBRを中心に様々な種類が存在するが,その多くは1種類の改質材を単独で添加して作製されている.近年,アスファルトやこれら改質材の価格が上昇し,それに伴い改質アスファルトの価格も上昇している.そこで,改質材の添加により得られる性能の向上をより大きくすることが期待できる新たな材料を,従来の改質材と同時に添加した.それにより,従来の改質アスファルトの性能の向上や,従来の性能を維持するために必要な改質材のコストダウンに繋がる改質効果が発揮されると考えられる.本研究はそのための基礎的研究として,新たな改質材を添加することによる効果を疑似引張試験で評価し,改質効果を従来の改質アスファルトと比較することでその有用性の判断やその添加量を提案することを目的とした.
疑似引張試験とは,タフネス・テナシティ試験の代用試験として検討が進められている試験方法であり,間接引張試験における間接引張強度と高い相関があることが証明されている.この試験は10mm×10mm×30mmの直方体部分を有する,アスファルトバインダの供試体を引張ることにより,断面積変化のばらつきや試験結果のばらつきを向上させるとともに,試験時にその荷重を測定し変形中の体積を不変と仮定して断面積を計算することで,これまで難しいとされてきた応力を疑似的に算出することができる試験方法である.本研究では,最大応力,最大ひずみ,スティフネス,最大応力までのエネルギーの4つで添加による効果を比較した.
本研究では,3種類の改質材について性能の向上が見込めるか検証を行い, SBSで最も高い性能の向上がみられたため,SBSについて更なる検証を進めた.その結果,SBSに対して5から10%程度の割合で新たな改質材をSBSと共に添加することにより,従来のSBSより高い性能の改質アスファルトになるという結論に達した.しかし,同じSBSを用いた場合でも,改質効果が高い添加量やその効果は異なる結果となり,本研究からはSBSの添加による傾向を捉えることはできなかった.

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