三本 諒

ノーマイカーデー参加意識と通勤手段選択要因に関する研究

佐野 可寸志

本研究は新潟県長岡市における市内一斉ノーマイカーデー及び新潟市で行われているノーマイカー(エコ通勤)デーを対象にアンケート調査を実施し、どのような人が参加しているのか、また参加者がどのような考えで参加に至ったのかを把握し実態を知り、今まで参加して通勤行動を転換した人や今後も参加しようと思う人の通勤手段転換構造を明らかにすることを目的に研究を行った。
長岡市アンケート結果より共分散構造分析を行うことによりノーマイカーデー中の転換、今後の参加意向、今後の継続的な転換への影響を見ることができた。パラメータの大きさからノーマイカーデー中の転換、今後の参加意向、今後の継続的な転換の3つを引き起こす要因である「交通行動転換意識」へ働きかけるものは車を控えようとする意識と参加経験であることがわかった。これらより交通行動転換意識にはノーマイカーデーの参加経験と車を控えようとする意識が必要であり、これらを向上させることでノーマイカーデー中の転換、今後の参加意向、今後の継続的な転換につなげることができると期待される。
また非集計行動モデルを構築し、分析したところ車から転換しない人には年齢が高く、車での移動が好きな人であり、日常に車を必要としている人であることがわかった。ノーマイカーデー転換者の中では自転車・徒歩は会社までの距離や時間が選択を阻害し、車の利用を控えようと努力している意識が選択を促しており、ノーマイカーデー後に継続的に転換する人を見込める手段であることがわかり、送迎・相乗りでは参加経歴と会社からの意思が選択を促していることから、転換している人はあくまで会社から転換を求められているから毎年転換しているだけだと考えられ、長期的な転換は見込めないと考えられる。これらよりただノーマイカーデー中の転換者を増やすだけならば会社から参加を強く求めることで相乗り・送迎への転換者を増やすことができるが、今後継続的な転換をする人を増やすためには如何にして車の利用を控えようと努力する意識を高め自転車に転換させるかが焦点となる。
新潟市のアンケート結果より長岡と新潟のそれぞれの非集計行動モデルを構築し、分析したところ相乗り・送迎では「会社からの意思」がプラス、「自動車利用抑制の意思決定コミット(できるだけ車の利用を控えようと努力していますか)」がマイナスのパラメータとなった。これは長岡と新潟が共通しており、相乗りを選択した人は会社で参加しているからノーマイカーデー中は仕方なく転換した、という人が多いということが確かなものになったといえる。またバスでは大きく違いが出たのは「今後の参加意向」と「公共交通の態度(通勤に公共交通は便利だと思いますか)」であり、それぞれ新潟のほうが大きい値となっている。これより公共交通の利便性により、バスへの転換を促すことができ、また今後しやすい傾向にあることが確認された。長岡でもバスへの転換者を増やすためにはバス路線を増やすことや増便をすること等による公共交通の利便性の向上が必要であると示唆された。

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