八木 公平

「高頻度観測衛星を用いた被災農地の復興状況把握の検討」

力丸 厚  坂田 健太

 2011年3月11日に日本における観測史上最大のM9.0の地震が発生し、それによる津波により太平洋沖沿岸は多大なるダメージを負い、また農地にも冠水、流失、塩害等の被害を受けた。その被害を受けた農地面積は大きく、太平洋沿岸の6県で計2万4千ヘクタールに上ると推計した。このうち約1万5千ヘクタールが宮城県で、同県の耕地面積の1割超を占める大規模な被害を受けていた。農地を再び使用するには、がれきの撤去のほか、塩分を抜く作業などが必要となり、1〜2年かかる可能性がありと言われていて非害の大きさは凄まじいものである。
 また自身もボランティアとして被災地に足を運び、被害の大きさを目にし、どうにかして、この広大な農地を観測できないかと考え、リモートセンシング技術を用いて、広大な農地観測を行えないかと考えたが、現状として、ある特定の場所を観測しようとすると、通常の衛星では、気象条件などにより良好な観測データを得ることが難しく、データが不足している。このため高頻度な観測データが必要となる。
 本研究の目的として、気象条件に左右されないようにするため、高頻度な観測する高頻度観測衛星を用いて、東日本大震災による津波の影響を受けた被災農地における植生を時系列に数値化し、農地復興状況把握地図を作成することにより、被災農地の被災復興状況把握の検討をする。
 結果より内挿法別では、数値としてはNearest Neighbor(最近隣内挿法)が3つの中では一番良いことが示唆されたが、3つの内挿法の値はほぼ変わらなかった。よって、たまたまMODISデータとの相性が3つの中では、Nearest Neighbor(最近隣内挿法)が合っていた可能性も有り。他の高頻度観測衛星では、他の内挿法が相性がよい可能性も有り、Nearest Neighbor(最近隣内挿法)が一番良いとは一概に言えない。
 また、農地復興状況把握図の結果から、農地として良好な場所、作付け無しである場所はしっかりと判別できており、また曖昧な場所も現地写真との比較により、判別が出来ていることがわかった。よって被災農地の植生の把握が高頻度観測衛星データ(MODIS)によって植生状況の推定の可能性が示唆された。
 がしかし細部では、所々農地がその場所とそぐわない所が見られる。この原因の理由の1つとして、農地の切り出しの際にうまく農地を捉え切れていなかった可能性があることが1つの原因だと考えた。もう1つの原因としては、1画素の大きさと農地区画の大きさの相性が悪かったのではないかと考えた。

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