馬場 康輔

地球観測衛星画像による土地被覆の経年変化抽出手法の改善に関する検討


力丸 厚  入江 博樹

土地被覆とは,コンクリート,植生,水,土壌などの地表面を被覆する表面素材の分布状態のことで,都市の社会的土地利用と深い関連を有している.しかしながら,土地被覆の情報を抽出する場合の基礎資料としては,行政が保有する土地利用に関する資料があるが急速に変化する広域的な開発域を表す情報がほとんどない.そのため宇宙から地表面を観測する衛星リモートセンシング技術により平野部のみではなく山間部等の現地調査が困難な地区を含む土地利用の変化,開発領域の広域情報を抽出することは重要である.そして,これまでの土地被覆の経年変化の抽出は,従来,森林であるか裸地であるかという論理的な内容で判別されており,森林に裸地が少し増えてきて,森林が徐々に減少した状態などを反映しにくかった.しかし,土地被覆状態を地表面の表面素材の被覆量で,判別していくことで,中間的な状態を加味した,土地被覆の変化の把握を,的確におこなえる可能性がある.
そこで本研究では過去に膨大なデータがあり広範囲で周期的なデータが取得可能なLANDSAT-7 ETM+により観測・記録された多時期ETM+データを使用し,空間分解能を向上させるパンシャープン画像処理を行い,植生変化指標により植生に着目した土地被覆変化領域の抽出を行い,植生変化量により,植生と裸地の中間的な状態を加味した,土地被覆変化状態の把握を行う.変化抽出を行った領域において画素内解析を行い,高解像度の画像により解析精度の検証を目的とした.
パンシャープン画像処理を行ったことで既存の研究で行われてきた,LANDSAT-7データを使用して行われる解析より空間分解能の向上により,解析精度が向上した.植生変化指標を用いることで植生の経年変化を量的な変化で表すことができ,中間的な領域を抽出することができた.これにより,従来行われてきた質的に土地被覆の経年変化を把握するのではなく,ではなく量的に土地被覆の経年変化把握の可能性が示唆された.植生変化指標図より3時期で植生が減少している領域で画像内解析を行うことで,植生と土壌の1ピクセルあたりの占有面積を算出した.高空間分解能衛星画像と比較することで解析精度の検証を行ったが,結果の相違が見られた.

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