佐野真

試料表面における双方向反射特性の検討

力丸厚 入江博樹

素材表面の状態が変化することは、様々な事象が発生する要因となり、それが何らかの問題を引き起こすケースも少なくない。主な問題の1つとして、交通事故の発生件数が年々増加の一途をたどっており、大きな要因として路面の表面状態が少なからず関連していることがあげられる。特に夜間走行中は運転席から路面を見ると、路面が乾いている場合は、ライトによる照明は効果があるが、濡れている場合はライトで照明しても、鏡面反射となり路面が明るく見えにくい。この現象が交通事故の発生要因となる場合もあり、車両走行路面の状況を把握することは,安全運転支援や交通・道路管理において最重要な事項の1つであると言え、より確実で安全な表面状態の検出方式の開発が望まれている。
その対応として、路面状態の検出に関する基礎的研究が行なわれている。これは路面の状態を変化させて、光の双方向反射特性や偏光特性を利用した計測を行ない、光学的に路面状態の検出を追及する研究である。しかしながらこれまでの研究は対象とする路面の粒径が考慮されていない。現在存在している人口路面は、様々な塗装・劣化具合のものがあり、それぞれ異なる表面性状で形成されている。それに伴い、光の反射特性にも変化が生じることが考えられる。
本論文では、試料の表面状態が乾燥・湿潤・凍結などと変化したときに、表面粒径の違いにより、光の反射特性の変化について検討した。そこで路面素材に着目した表面粒径等の異なる試料ごとに、乾燥・湿潤・凍結状態をつくりだし、各表面状態の試料ごとに光の反射特性を計測した。その結果から、表面粒径の変化による反射特性の特徴について検討した。
結論として、表面状態ごとに粒径の異なる試料を比較した結果、鏡面反射方向の反射角にて、各試料間で反射特性に特徴が出ることがわかった。また、この要因は試料の表面粒径の大きさの違いによるところもあるが、鏡面反射成分や偏光度については表面の艶や材質により大きく出るということも予測できる。特に水を吸収する素材であるかどうか、表面に氷が張りやすい素材であるかどうかということが大きく反射特性に影響してきていることがわかった。


 
 

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