小林 正樹

MODISデータを用いた植生の時系列変化把握に関する検討

力丸 厚、入江 博樹

広域に分布する植生を観測する方法として地球観測衛星によるリモートセンシングが活用されている。例えば、衛星画像より植生を把握することで、食糧問題や生態系、環境問題の原因を知る手がかりになる。地球観測衛星により植生の分布を瞬時に観測するが可能である。しかし、雲域の影響で植生の観測が困難であり、時系列に植生の変化を把握することは難しい。また、2009年の基礎研究で雲が少ない日のMODIS画像を各時期ごとに合成し、 季節別に1年間で8時期の植生分布を把握した。課題として1年間で8時期というのは時間分解能としては低いことが挙げられた。そこで雲に覆われる頻度の低い領域において、高い時間分解能で植生の時系列変化を把握することを検討した。本研究の目的は1年間を通じて雲域の少ない領域を抽出し、これらの局所領域における時系列な植生状態変化抽出の可能性について検討することとした。使用衛星画像はEOS-AquaとTerra衛星に搭載されているMODISセンサの観測するデータを用いた。今回使用したMODIS画像は8日間コンポジット画像であり、8日間のうち雲域がない領域を合成したものを用いた。まず2010年4月から8日間ごとに2011年4月までの40シーンのMODISデータから雲域指標画像を作成し雲域を抽出することで、雲域頻度画像を作成した。これにより年間を通じて雲域頻度が少ない領域を把握した。雲域頻度が少ない領域において植生の変化が著しい水田に着目して2010年関東の植生時系列変化を検討した。植生量の算出方法としてNDVIを用いた。2010年関東各地域の圃場のNDVI値を検討した結果、6月から7月にかけて大きく増加し、9月から減少した。各地域にて現地検証を行い、稲作の作付けが確認できた。さらに稲作の栽培暦との比較検討を行い、各水田地帯における植生時系列変化は栽培暦の植生の推移と比べほぼ同じであることがわかった。また、同一箇所において年度が異なる2009年においても本研究手法を適用したところ、植生時系列変化を把握することができた。雲域が多いタイ国において本研究手法を適用したところ、乾期作での植生の推移を把握することができた。

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