市川貴博

コンクリート中小規模橋を対象としたRC連結ジョイントの開発研究

長井正嗣

橋梁の桁端部は,凍結防止剤によるコンクリートの塩害が生じやすく,桁端部の止水化対策が必要である.その対策として,RC連結ジョイントや,インテグラルアバット,延長床版などの橋梁のノージョイント工法がある.本研究では,施工が簡易でコストが安く,既設橋にも設置が可能なRC連結ジョイントの開発研究を行った.
初めに,RC連結ジョイントの活荷重作用時の力学挙動を明らかにする.ここで,RC連結ジョイントによりノージョイント化された橋梁は,活荷重により上部構造の変形に下部構造が追従していると推察された.このため,実橋の載荷試験を行い,活荷重下の変形を計測し,有限要素法との比較を通じて,橋梁全体系の力学挙動を明らかにする.
次に,RC連結ジョイントの構造特性や適用範囲を把握するために,上部,下部,基礎の条件をパラメータとした骨組み解析を行う.ここでは,温度変化による桁の伸縮がクリティカルとなることから,外力として±20℃の温度変化を作用させた.また,地震による局部的な影響については,RC連結ジョイントを模擬した供試体による載荷試験を実施した.供試体では,連結鉄筋の形式,径,根入れ長,重ね継手長を変化させ,最適な構造形式について検討を行った.
本研究から得られた知見を以下に示す.
活荷重作用時の力学挙動から,RC連結ジョイントを適用した橋梁はラーメン構造と類似した挙動を示す.
骨組み解析による適用範囲の検討から,RC連結ジョイントは桁長が75mまでのコンクリート橋に適用可能である.
RC連結ジョイントの終局実験では,連結鉄筋の形状をU字型(径13mm,根入れ長40mm)と,連結鉄筋の形状をL字型(径13mm,根入れ長40mm,重ね継ぎ手長100mm)のケースでは,終局耐力はそれぞれ148kNと145kNと同程度となった.これより,施工性を考慮してL字型の連結鉄筋を採用するのが良い.
橋長を40mとしてRC連結ジョイントを採用した場合,RC連結ジョイントの軸力はL1, L2地震ではそれぞれ118kNと192kNと試算された.U字型,L字型の供試体の終局耐力と比較すると,L1地震では許容範囲内となり,L2地震では部材が終局することがわかった.また実験の終局挙動から,鉄筋は降伏するものの,橋台を模擬した母材は破壊しなかった.これより,RC連結ジョイントを採用した橋梁に地震力が作用しても,ジョイント部のみに被害が生じ,橋梁の復旧は容易かつ迅速なものとなる.

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