氏名:安中 清貴

ケーソン基礎沈設時の周面摩擦低減のために用いる滑材の性能評価

指導教員:豊田 浩史

構造物に対して用いられる基礎の1つにケーソン基礎がある.ケーソン基礎は函体を地上で製作し,その底部の土を掘削しながら地中に沈設させる工法である.函体外周に発生する土との摩擦力により,十分な深さまで函体が沈下しない可能性がある.そのため,摩擦低減工法の導入が必要である.
摩擦低減工法として,ケーソン外壁と周辺地盤との間に滑材を注入する工法があるが,その滑材としてよく用いられるのがベントナイトスラリーである.ベントナイトは高い膨潤性を持ち,水に溶くことでとろみのある液体になるため,滑材として期待できる.
実験では,一面せん断試験機の下箱にモルタル板設置し,その上に滑材をのせ,上箱には土試料を設置した.この試験により,新たに開発されたK滑材の性能を, ベントナイト滑材と比較することにより,評価した.その結果,以下のことがわかった.

1. K滑材はベントナイト滑材に比べ,低拘束圧のもとでは,土に浸透しにくい.
2. K滑材はベントナイト滑材に比べ,初期摩擦低減効果に優れる.
3. 砂試料の場合,K滑材はベントナイト滑材に比べ,低拘束圧で持続力に優れるが,高拘束圧では効果が無くなる.
4. 粘土試料の場合,K滑材はベントナイト滑材に比べ,持続力に劣る.
5. K滑材,ベントナイト滑材ともにセメントグラウトを混入すると,土とモルタルの間に,滑材を用いない場合以上のせん断強度が得られる.

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