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登坂直城

飽和砂の変形係数に与える圧密応力比の影響

豊田浩史

地盤や土構造物の地震応答解析には，10-6から10-3程度までの微小ひずみレベルでの変形係数と減衰係数が必要となる．一方，地盤の各種の静的な荷重に対する多くの変形問題の解析でも，微小ひずみレベルでの変形係数を正確に求める必要がある．また，実地盤では異方圧密状態で存在する地盤が多くあることから，異方圧密された粘性土の微小ひずみ領域における変形係数の変化を調べる必要がある．
これらの微小ひずみレベルの変形係数は原位置での弾性波探査試験により求めるのが一般的である．しかし，あるひずみ・応力レベルでの地盤物性値しか得られないという欠点がある．合理的でより詳細な設計をするため，境界条件が明確で，比較的実施が用意である三軸試験を行い，地盤の変形係数のひずみレベル依存性や応力レベル依存性に関する研究が行われてきた．
昨年の研究では，異方圧密された粘性土の微小ひずみレベルでの変形係数の変化について調べ，局所ひずみ測定試験，及びベンダーエレメント試験（以後，BE試験と称す）を実施し，両者の比較により，微小ひずみレベルでの変形係数の測定手法について検討した．
そこで，本研究では，豊浦砂を対象に，できる限り粒子の配向性をランダムにできる乾燥突固めで供試体を作製し，昨年と同様のケースで実験を行った．この乾燥突固めの結果と米山粘性土の結果を比較した．以下に本研究で得られた知見を示す．

① 豊浦砂・米山粘性土ともに，有効拘束圧が同じであれば，BE試験から求めたせん断弾性係数はK値の影響を受けず，一定である．つまり，せん断弾性係数はK値によらず有効拘束圧と一意的関係がある．
② 米山粘性土において，局所ひずみ測定試験から求めたヤング率・せん断弾性係数は，K値によらず有効鉛直応力と一意的関係がある．一方，豊浦砂においては，ヤング率・せん断弾性係数は，有効拘束圧と一意的関係にあるとはいいえず，K＞1においてK値が大きくなると小さくなる傾向がある．ここで，重みつき有効平均主応力（p’weight）を導入することにより，ヤング率・せん断弾性係数を一意的関係で表すことができる．
③ 局所ひずみ測定試験から求めた割線弾性係数のひずみ依存性（割線弾性係数－ひずみ関係）に関しては，米山粘性土ではK値によらず相似的なひずみ依存を示すが，豊浦砂では，K値によりひずみ依存の形が違ってくる．

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