川上 誠司

播磨灘の流動及び水質拡散機構の把握

犬飼 直之

閉鎖性海域である播磨灘の流動機構については未だに解明されていないことが多い.本研究では播磨灘の数値シミュレーションによって流れ場を再現することにより流動機構を把握し,加古川河口から汚染物質が流れ出たときの拡散計算も行った.数値シミュレーションに際して潮汐モデルであるNAO.99を使用して,明石海峡や鳴門海峡及び小豆島の南北の狭い海域の潮汐調和定数を調べてそれを用いて計算を行った.
数値計算により香川県の高松付近,灘の中央部,明石海峡付近,鳴門海峡付近の4地点における水位,流速,流速ベクトルをそれぞれ満潮時,干潮時,上げ潮時,下げ潮時に分けて得ることが出来た.水位は明石海峡付近から灘全体に伝播するような挙動を示し,流速は海峡付近で強い流れであるが灘の中央部付近は緩やかであることが分かった.流速ベクトルは満潮時のみ全体的に西向きの流れであるが,それ以外では東向きの流れであることが分かった.潮汐残差流の計算においては海峡付近の流速は年間通して早く,その流速ベクトルは複雑な流れの挙動を示している.また,加古川河口から汚染物質が流れた際の流動は潮汐残差流による影響を受けながら往復運動と共に同心円状に拡散するという結果になった.

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