尾形 英一

中山間地における小規模水資源利用に関する研究

細山田 得三

日本は河川が多く雨量も多いために豊富な水資源が存在する.水資源利用の代表的なものとしては水力発電がある.水力発電は火力発電,原子力発電に次ぐ発電量の発電方法である.既存の水力発電は河川に大規模なダムを建設するものであり自然破壊となってしまい問題である.大規模な開発を必要とせず河川での発電をする方法として小水力発電がある.河川などの流れがある部分にそれに合わせた発電機を設置する発電方法である.また雨量が多い日本では河川での発電を始めとした水資源利用を考える際にどの部分で氾濫などの流量増加による氾濫などの災害が起こるかを知ることも重要である.本研究では流量を増加させてどの部分で災害の危険があるかを検討するとともにどの地点に発電機を置けばどの程度の発電量が期待できるかを地形データを用いて解析することを目的とした.
解析の対象は使用する地形データの縮尺で十分な精度が得られる新潟県長岡市川口の芋川とした.まず地形データから水の流れを時間的に表現できるモデルを構築した.実際の河川では地下に浸透する水も存在するために実現象に基づいて不飽和層,飽和層を設け流れる水が地下に移動する様を解析できるようにした.各層間を移動する際には固有のパラメータによって変化する流速を用いている.地下水,特に飽和層を流れる水はダルシー則によって支配される.解析方法は地形データの一部を川をせき止めるように改変しせき止めた部分にある程度水が溜まった時点で改変した値を元に戻し擬似的な洪水を発生させた.次に地形データにより各地点の有効落差を計算するとともに各地点での流量も合わせて計算し有効落差,発電効率などにより発電量を計算した.
その結果地表面においては通常の地形では水深は5〜10mであるのに対し曲がりくねったような複雑な地形では水深が10〜15mとなった.地下水をあらわす飽和層も地表面と同じような挙動を示した.水深が深くなった地点では氾濫などの災害が起きる可能性があることから複雑な地形で災害の危険性があることが分かった.発電量に関しては先述の水深と同じように複雑な地形の地点で流量が多くなるため発電量が多くなった.このことにより発電量は流量と比例していることが分かった.

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