ken10108

木村　大樹

表層アスファルト混合物の違いによる埋設ジョイント疲労破壊抵抗性の比較

高橋　修

道路橋のジョイント部において，問題となっている車両走行時の振動や騒音を抑制する工法として，大きな伸縮変位に対応する，格子パネルを用いた伸縮分散型埋設ジョイントが運用されている．その耐久性や供用性は，アスファルト混合物の種類や使用バインダの種類によって差異があることが経験的に知られている．そのため，伸縮分散型埋設ジョイントにおける運用上の課題として，表層用アスファルト混合物の違いと耐久性，特にひび割れ抵抗性との関係を定量的に評価することが挙げられる．各種アスファルトを使用したアスファルト混合物のひび割れ抵抗性については，多くの舗装研究者によって検討されているが，埋設ジョイントに特化したひび割れ抵抗性については，ほとんど評価されていないのが実状である．埋設ジョイントに作用する変形作用は一般部の舗装と異なるため，実際に即した評価試験の実施が必要とされている．
そこで本研究では，格子パネルを用いた伸縮分散型埋設ジョイントの表層アスファルト混合物について，実際の運用実績とその供用性を調査するとともに，使用されているアスファルト混合物の疲労破壊抵抗性の評価を行った．本研究の目的は，埋設ジョイントの表層アスファルト混合物の疲労破壊抵抗性を定量的に評価し，埋設ジョイント舗装体の長寿命化に寄与するために基礎データを整理することである．
検討方法としては，データベースを用いて埋設ジョイントの表層アスファルト混合物について，実際の運用実績とその供用性を調査した．また，アスファルト混合物の種類や使用バインダの種類，基層アスファルト混合物との組合せの違いによる疲労破壊抵抗性を検討するために静的曲げ試験と繰返し曲げ試験を行った．
これらの検討より，以下の知見が得られた．データベースを用いた調査より，埋設ジョイントの損傷と使用表層材料の実状が明らかとなった．繰返し曲げ試験を行った結果より，埋設ジョイントの表層に開粒度アスファルト混合物を用いた場合，密粒度アスファルト混合物を用いたものと比較し疲労破壊抵抗性が低いことがわかった．また，表層と基層の組合せにより疲労破壊抵抗性に明確な差がみられた．埋設ジョイントの疲労破壊抵抗性は，バインダや骨材粒度に大きく影響されるため，材料選定に注意を要する．

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