交通工学研究室 樋田将也

我が国の空港アスファルト舗装にSuperpave配合設計法を適用するための基礎的研究

指導教員 高橋修

近年,航空需要の増加により空港舗装の長寿命化が必要とされている.航空機の離着陸の回数が増えることによって,通常10年の設計寿命を待たずに,早期にアスファルト舗装が破壊にいたってしまう状況が散見されている.その影響により,補修の頻度が多くなって維持管理費も増加している.そのため,より耐久性の高い空港アスファルト舗装の設計法,施工法が必要とされている.米国,カナダでは,重交通に対してより耐久性の高い合理的な道路用の配合設計法として,Superpave設計法が1990年代に開発された.本研究の目的は, Superpave設計法を,我が国の空港舗装に導入するために,Superpave設計法の適用性を評価するとともに,設計基準の見直しを含めたガイドライン策定のための基礎データを得ることである.Superpave設計法を我が国の空港舗装に適用するためには,まず締固め機器として用いられるSGCの旋回数を我が国の空港舗装の実状に基づいて設計旋回数Ndesを設定する必要がある.ここでは,東京国際空港における供用年数4年8ヶ月および6年8ヶ月経過したアスファルト表層の密度を使用し,供用年数10年の密度を推定し,それに相当する旋回数をNdes=105回と設定した.次に骨材粒度の選定を行う.Superpave設計法での骨材粒度は選択の幅が広く,用途に合わせて粒度を選択できる.その反面,粒度の選択は経験によるところが大きく,設計者に高い技能が必要とされる.そのため,本研究では骨材の選定にBailey法を用いた.この手法の利点は粗粒度や細粒度など配合を制御しやすいということと,飽和度や骨材間隙率などの設計パラメータをある程度操作できることである.そして,10通りのアスコンの特性を比較・検討した.まずは塑性流動抵抗性の比較を行った.本研究では塑性流動抵抗性評価試験にAPA試験を採用した.最も耐久性の高かったものは,Superpave法に基づき,Bailey法によって細粒度として配合設計されたアスファルト混合物で,最大粒径骨材の量は中程度のものであった.次に疲労抵抗性の比較を行った.本研究では疲労抵抗性を評価するために,曲げ疲労破壊試験を実施し,APA試験の結果が最も良かった配合と空港舗装の配合を比較した.Superppave設計法で配合設計したものが優れているという結果が出た.以上の結果より,Superpave設計法による配合設計は現行法のものよりも優れたアスファルト混合物を作製できることができ,我が国への適用性は十分にあるものといえる.

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