氏名:濱田 裕基

テーマ:計算法と実測法によるアスファルト混合物の理論最大比重の違いと配合設計への影響

指導教員:高橋 修

 アスファルト混合物の理論最大比重(以下,Gmm)の決定には,現在二つの方法が用いられている.その一つは,各種骨材とアスファルトバインダのそれぞれの比重と,それらの配合率から計算で求める方法である.この方法は古くから多くの国で用いられており,我が国でも現在の配合設計で行われている.もう一つは,加熱混合した混合物をバラバラにほぐし,強制的に真空にした状態で水中重量を測定して,空隙が存在しない場合の体積を求める方法であり(以下,Rice法),現在では米国,カナダで一般的に用いられている. Rice法が先進諸外国で運用されている背景に,計算法では,骨材によるアスファルトバインダの吸収を考慮できないことが挙げられる.つまり,現物の状態で実際に測定して,真に近い値を求めるという現実的,かつ合理的な考え方がRice法にはある.
我が国ではRice法に関する基礎的検討が行われた経緯はほとんどなく,現行の計算法とRice法から求めたGmmの違いが空隙率に与える影響について全く知られていない状況である.
本研究では,我が国で標準的に行われている計算で求める方法とRice法で求める方法で,我が国の混合物のGmmを求め,その差異を定量的に比較することを目的とする.本研究の具体的な目的としては,以下の3点が挙げられる.
・骨材におけるアスファルトの吸収性を評価し,そのばらつきの範囲と要因について検討する.
・計算法と実測法の違いが配合設計におけるパラメータに及ぼす影響をより多くの実データに基づいて調査する.
・Gmmの差が大きい場合,計算法で求めた値から実測法の値を推定する方法を検討する.
 結果として,密粒13と密粒20混合物を比較すると,密粒20のほうが計算法とRice法での
Gmmの差が大きい.これは混合物を構成する5号砕石の影響と判断した.また配合設計に
与える影響として,アスファルト量に0.0〜0.3%程度の影響があることが確認できた.本研究
のまとめとして,Gmmの差が大きい場合の推定式を提案した.95%信頼区間を用いて,推定
式の精度の検証も行った.
 本研究では,密粒13の実測データが少ない.今後はデータ数を増やし推定式の精度を向上さ
せる必要がある.

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