石塚 五朗

マイクロガスタービン排出ガスの固体酸化物燃料電池への適合性検討

佐藤 一則

固体酸化物燃料電池(SOFC)の動作温度は約600℃以上であり,メタンをはじめとする様々な燃料を用いることが出来るが,始動時の加熱や保温が必要である.一方,マイクロガスタービン(μGT)も様々な燃料を用いる事が出来るが発電効率が約30%以下と低く,800℃前後の排出ガスと小型化に伴う未燃焼ガス成分の有効利用が課題となっている. μGT排出ガスをSOFC動作の熱源と,未燃焼物質を燃料として利用が可能であれば,発電用の新エネルギーとして効率良く活用できる.しかしこれまでμGTやμGTの燃焼器からの排出ガス温度と排出ガス成分の関係は明らかでなかった.そこで本研究では既存の28kW級μGT,およびμGT燃焼器のそれぞれについて,燃焼状態に応じた排出ガスの成分分析と排出ガス温度の測定を行った.
既存の28kw級μGTシステムの無負荷(Idol)運転状態からの排出ガスの温度測定したところ, 約110℃であった.一方,排出ガスには残留メタンと残留エタンが合計で約0.176 vol%検出された.このμGTでは熱交換器通過後のサンプリングのため,μGT燃焼器再現装置を用いて排出ガスの測定を行った.測定を行ったμGT燃焼器再現装置の設定温度600℃〜1000℃での当量比φは0.21〜0.34と希薄(Lean)な燃焼であった.μGT燃焼器再現装置からの排出ガス温度を測定したところ,どの設定温度でも設定温度箇所である試験部入口が最も高く,設定温度が高温になるにつれ,下流側の燃焼器出口温度との差が広がることを示した.
μGT燃焼器再現装置からの排出ガス成分に,燃料の未燃焼成分としてメタンが含まれており,高温になるにつれてその存在量が減少した.酸化剤過多であっても未燃焼成分が発生する理由は,小型燃焼器において顕著な火炎の壁面衝突による消炎や,燃焼器内における燃焼ガス成分の滞在時間減少により,燃焼ガス希釈領域での消炎が起きているためと考察した.μGTの燃焼器直後若しくはタービン直後にSOFCを設置することで,SOFC動作に必要な600℃以上の温度が得られ,未燃焼ガス成分のSOFCへの供給が可能であることを見いだした.

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