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田邉　寛典

飽和粘性土の変形係数に与える圧密応力比の影響

豊田　浩史

　昨年の研究では異方圧密された粘性土の微小ひずみレベルでの変形係数の変化について調べた．局所ひずみ測定試験とベンダーエレメント試験（以後，BE試験と称す）を実施し，両者の比較から微小ひずみレベルでの変形係数の測定手法について検討した結果，局所ひずみ測定試験とBE試験では応力状態により，弾性係数に差が出ることがわかった．
そこで本研究では，有効拘束圧を一定としたケースと有効鉛直応力を一定とした2つの試験ケースのを行い，局所ひずみ測定試験とBE試験による弾性係数を支配する応力状態を調べていく．以下に本研究で得られた知見を示す．
「有効拘束圧一定のケース」
① 局所ひずみ測定試験により求まるヤング率，及びせん断弾性係数はK値が大きくなるほど小さくなる．
② BE試験により求まるせん断弾性係数はK値が変化してもほぼ一定の値を示すことから，K値の影響をあまり受けない．
「有効鉛直応力一定のケース」
① 局所ひずみ測定試験により求まるヤング率，及びせん断弾性係数はK値の影響をあまり受けず，ほぼ一定の値を示す．
② BE試験により求まるせん断弾性係数は有効鉛直応力が大きくなるほど大きくなる．
　これらの結果より，以下のことが結論として導かれる．
・局所ひずみ測定試験による弾性係数は有効鉛直応力による支配を受ける．
・BE試験による弾性係数は有効拘束圧による支配を受ける．

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