長谷川 舞
中山間地における雪崩の特性に関する数値実験
細山田 得三
日本は世界でも有数の豪雪国であり,豪雪地帯と呼ばれる地域は24道府県にも及んでいる.日本の中央には大きな山脈が存在し,その日本海側とでは,冬季に大量の積雪がある.また,日本は国土の約7割を山林が占めているため,豪雪地帯の中でも山間部に集落や建造物が存在する場合も多く,このような地域では多くの雪崩の危険にさらされている.本学が位置している新潟県においては県内全域が豪雪地帯であり,その中でも長岡市を始め14市4町1村が特別豪雪地帯に指定されている.近年では2004年10月の中越地震によって多くの地盤崩壊が発生しており,このような不安定な地盤を有する地域ではより一層の雪崩災害の発生が懸念された.雪崩災害の防止には,雪崩の運動を理解することが,基本的な要件となっており,このため雪崩の流動モデルの開発が重要な研究のひとつとなる.そこで,本研究では雪崩の流動モデルを使用した雪崩の特性に関する数値実験を行うことを目的とした.
本研究では,雪崩の運動を数値計算し,雪崩の流下挙動等を解析可能な解析モデルを構築した.本モデルは,非線形長波の波動モデルを適用し,底面からの雪の取り込みによる濃度,密度変化を考慮することが可能である.また,雪崩の発生地点が1つではなく、多点とすることができ,面発生雪崩に対応できる.
一次元による数値計算においては,直線斜面と実際に雪山で見られるような仮想モデルを作成し数値計算を行った.このとき,雪崩防護柵における高さ等の初期条件を変化させることで防護壁に作用する雪圧の時間による変化を示した.それにより,連続的な防護壁に作用する圧力の時間変化を確認することができた.また,二次元による実地モデル(新潟県長岡市半蔵金)を対象として数値計算を行った.それにより,斜面を流下する雪崩の運動挙動を数値計算によって表現可能である事が確認できた.さらに防護壁を設置することにより防護壁設置前と設置後の雪崩の挙動の変化を確認することができた.
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