佐藤 高央
新潟電子地盤図の作成と利活用に関する検討
大塚 悟教授
本研究の目的は、全国電子地盤図の中の新潟電子地盤図の作成し,新潟電子地盤図によって得られる情報を新潟地震の災害状況との比較・検討を行うことにより、電子地盤図の利活用に関する課題を抽出することである.全国電子地盤図とは,全国を250 m区画で分割し,深さ100 mより浅い地盤について各区画の地盤モデルを電子的に作成し保存,追記,表示できるシステムであり,そこに含まれている情報はインターネット経由で閲覧・ダウンロードができる.本研究は新潟電子地盤図の作成において,信濃川関屋分水路から阿賀野川左岸までの新潟市の中心地に対して実施した.新潟市のある越後平野は150 mを越える日本一厚い沖積層が存在するため,個々のボーリングデータで沖積層の基底を確認することはできなかった.これまでの電子地盤図は,対象地盤の下端を沖積層の基底もしくは支持地盤の境界においていたが,新潟電子地盤図では砂層の堆積が深く設定が困難なため,砂層のN値30以上の層を疑似基盤面として対象地盤を設定することとした.
電子地盤図作成は以下のように行った.
(1)対象層の設定:地盤特性を抽出する研究作業と並行して,基礎ボーリングデータ柱状図1本ごとにモデル化対象層の設定を行う.ソフト上で対象層を同定して,その対象範囲(上端・下端)を設定する.
(2)データの選別:各メッシュ(250 m区画)に対して,その地盤条件を代表するボーリングデータを選別する.
(3)モデル化への変換:ボーリングデータを支援システムの機能を用いて地盤モデルに変換する.
以下に本研究より得られた結論について箇条書きに記す.
(1)ボーリングデータの収集により,250 mメッシュの広域表層地層図を作成した.これにより,個々のボーリングデータの情報では見ることが出来なかったマクロ的な地盤情報が整備された.
(2)250 mメッシュにモデル化することで局部的な情報に関しては多少精度が落ちるが,それでも尚,ある程度は個々の情報を反映してモデル作成が実施できることを示した.局部的な情報と広域情報の両方の特性を現状ではバランス良く整備している.
(3)新潟地震災害図との比較より,電子地盤図によるN値10以下の砂層分布が液状化被害分布と比較的相関の高いことが示された.
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