ken09204

神宮勝久

細粒分含有率の異なる中間土の締固め特性と強度特性に関する実験的研究

大塚悟　磯部公一

　中間土に関する物理的，力学的特性を把握するための研究は従来より実施されており，いくつかの貴重な知見が得られている．しかしながら，自然に存在する地盤材料は無数にあり，全ての特性が把握されているとは言えない．一方で土の応力～ひずみを関係づける構成式は砂と粘土を区別して表現，取り扱うことが一般的であった．なぜなら，砂であれば液状化，粘土であれば圧密沈下挙動と実地盤で問題となる現象が異なり，各現象のみを再現できる構成式を構築するという形でこれまでの構成式が発展してきたためである．しかしながら，昨今の構成式の研究では，砂と粘土を区別することなく，また少ないパラメータで両者の力学挙動を表現することが可能になってきており，その両者の特性を有する中間土の挙動を的確に表現できる段階に来ている
さらに，最近の地震や水害などの地盤災害では中間土で造成された盛土地盤での被害が顕著であるとの報告もある．このような状況から，今後もより一層中間土に関する研究が進められるものと考えられる．このような背景を踏まえ，本研究では砂と粘土を混合した人工中間土を用いて，細粒分含有率の差異がもたらす物理特性，締固め特性，せん断特性への影響を把握する．本研究では，各種物理実験，締固め試験，締固め試料に対する一軸圧縮試験，三軸圧縮試験を行い，それぞれの結果の相関性およびメカニズムについて考察を行う．
　以下に，本研究で得られた知見を示す．
A. 突固めによる土の締固め試験
① 細粒分含有率30 %において最大乾燥密度 dmaxをとった．
② 締固め回数が少なくなると，最大乾燥密度 dmaxは小さくなり，最適含水比woptは大きくなる．
③ 細粒分含有率により，最適含水比woptが変化するのは，細粒分と砂との保水力の違いのためである．

B. 一軸圧縮試験
① 最適含水比woptの2 %ほど乾燥側で最大圧縮応力をとる．
② 細粒分含有率の違いで，骨格構造が変化すると考えられる．細粒分含有率が低いと砂により骨格構造が作られ，細粒分含有率が高いと細粒分で骨格構造が作られると言える．
③ 試料の含水比wにより破壊形態は，せん断面が形成されるものと引張破壊を生じるものが見られた．含水比wが低い場合，試料の粘着力が大きくないので引張破壊を起こすと考えられる．
④ 含水比wにより破壊形態の予測が出来る可能性がある．

C. 圧密非排水三軸試験
① 拘束圧が小さいこともあり変相点を確認することは難しい．
② 締固め方法で作成した供試体は，非常に過圧密の状態であり，有効応力経路での体積収縮はほとんど見られない．
③ 一軸圧縮試験と同様に，最大軸差応力は最適含水比woptの2 %ほど乾燥側でとった．

D. 解析結果
①　実験値との差はあるが，定性的な傾向は表現することが出来た．
②　拘束圧50 kPaにおいて，OCRが15とすると実験値に近い値を取ることから，非常に過圧密の供試体であると言える．

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