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秋山耕士郎

鋼管柱基礎の静的および動的水平抵抗特性

大塚悟　教授

低コストの既製鋼管4本組を基本とした，履歴ダンパー機能を有するせん断パネルによりひとつの柱とした構造（鋼管集成橋脚）が提案されている．この工法は，安価な材料，鋼材履歴減衰の有効利用，アンカーフレームの省略等をもとに考え出された構造であり，死荷重，活荷重等の鉛直荷重を受けもつ主部材と地震力等の横力対応の二次部材に差別化を図る損傷制御設計を適用したものである．本研究では，鋼管柱基礎形式を鋼管集成橋脚の基礎として念頭に置き，最も合理的でかつ安全性の高い基礎構造として，該構造の最適構造を検証することを目的とし，鋼管柱基礎をモデル化した模型を用いて，水平抵抗特性を検証した．さらに，杭基礎の力学挙動を適切に表現できる解析コードとして実績のある DGPILE-3D16)～19)を用い，数値解析的に合理的な基礎構造の検討を実施した．
鋼管柱基礎の静的，動的水平抵抗特性を模型実験により①杭間隔が大きいほどパネルがあるほど水平抵抗力は増加する．②パネルの存在により，橋脚天端と杭頭との相対変位が抑制されることなどがわかった．
次に鋼管柱基礎の直柱効果の数値解析により①鋼管集成橋脚を有する鋼管柱基礎構造でも，杭間隔の減少とともに水平抵抗力が減少する．②杭間隔と群杭効率の関係は，道路橋示方書における関係式よりも大きな値を示す．③鋼管柱に発生する曲げモーメントがせん断パネル設置位置で減少すること，などがわかった．また, 鋼管柱基礎構造として，地中せん断パネル，地中梁，フーチングを柱と杭の接合部(G.L. 0 m)に設置した場合の効果を検証した結果①地中せん断パネル，地中梁の適用は，杭頭の水平変位抑制に大変効果的であるが，橋脚天端の変位抑制に関しては杭頭と同等の効果が得られないことがわかった．さらに，杭接続部に斜柱，斜杭構造を適用性により①斜柱，斜杭構造では，水平抵抗力が大幅に向上する．②斜柱，斜杭構造では，杭部の最大モーメントを大幅に抑制できる一方で，軸力は直柱よりも増加すること，などがわかった．最後に斜柱，斜杭構造の動的抵抗特性により①斜柱，斜杭構造になるにつれ応答加速度は増大するが，水平変位は減少する．また，最大モーメント値は同程度な対し，最大軸力は増大する②斜柱，斜杭構造となるにつれ，橋脚天端の応答水平変位を抑制できること，応答加速度が増加することが確認され，その差異は地震荷重に対する抵抗特性に起因していることを明らかにした．これにより動的水平抵抗特性が大きく異なり，本構造を設計する際には，動的解析による照査が必要と考えられる．

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