KEO VICHET
一軸圧縮試験によるアスファルトコンクリートの塑性流動抵抗性の評価法に関する研究
高橋 修
わが国におけるアスファルト混合物（以下，混合物）の塑性流動抵抗性の評価法としては，ホイールトラッキング試験（WT）が広く運用されている．この試験法は，車両走行による塑性流動を再現できることや，既往の実績や経験などが豊富にあることなどの利点を有する．その反面，配合設計とは別途，専用の供試体を用意しなければならないため，煩雑な作業が必要となり，多大な時間とコストを要することになる．また，試験機が高価であるため，配備されている大学機関はわずかである．さらに，その試験の評価値である動的安定度DS精度やバラツキは試験の導入時より問題点として指摘されている．
アスファルトコンクリート（以下，アスコン）の塑性流動はアスコン中の粗骨材，細骨材が車両のタイヤ荷重に起因する圧密の変形作用によって，相対的に位置を変えることによって生じる現象である．そして，このような骨材の相対的な位置変化に影響を及ぼす主要因子としては，骨材のかみ合わせ状態，特に粗骨材の接触状態と骨材を付着させているアスファルトバインダ（以下，バインダ）のせん断変形特性が挙げられる．つまり，アスコンの塑性流動抵抗性はアスコン中のバインダのせん断強度に依存するものと考えられる．
そこで，本研究ではせん断変形抵抗性を評価する簡便な試験法としては，一軸圧縮試験（UCT）に着目した．この試験法は，一連の配合設計の過程で得られる試験供試体を用いることができるため，WT試験よりもかなり簡便に行うことができる利点を有する．そして，将来的には配合設計に組み込むことが可能で，より合理的にアスコンを設計することができると考えられる．本研究では，アスコンのUCT試験を具体化するとともにアスコンの塑性流動抵抗性をUCT試験で評価することを目的とした．
検討方法はまず，本研究の予備検討という位置づけで，UCTにおいて有効な供試体寸法について評価した．UCTがアスコンの塑性流動抵抗性の評価方法として，適用が可能であるかどうかを確認するために，現行のWT試験との比較を行った．
本研究の検討結果を次のように取りまとめた．骨材配合が同一でアスファルト量を変化させた場合は，UCTの結果とWT試験のDSとの関係は負の相関となった．これは試験の方法の差異による載荷および拘束条件の違いにあると考えられる．そのため，UCTはアスファルト量がOACの条件と異なるスコンに対して塑性流動抵抗性を評価することができない．しかし，アスファルト量がOACの状態で混合物の種類（骨材粒度）を変化させた場合，WT試験とUCTの結果の間にある程度の相関性を認めることができる．これより，UCTは骨材粒度を変化させる混合物の塑性流動抵抗性を評価する場合の評価試験には向いている．
わが国におけるアスファルト混合物（以下，混合物）の塑性流動抵抗性の評価法としては，ホイールトラッキング試験（WT）が広く運用されている．この試験法は，車両走行による塑性流動を再現できることや，既往の実績や経験などが豊富にあることなどの利点を有する．その反面，配合設計とは別途，専用の供試体を用意しなければならないため，煩雑な作業が必要となり，多大な時間とコストを要することになる．また，試験機が高価であるため，配備されている大学機関はわずかである．さらに，その試験の評価値である動的安定度DS精度やバラツキは試験の導入時より問題点として指摘されている．
アスファルトコンクリート（以下，アスコン）の塑性流動はアスコン中の粗骨材，細骨材が車両のタイヤ荷重に起因する圧密の変形作用によって，相対的に位置を変えることによって生じる現象である．そして，このような骨材の相対的な位置変化に影響を及ぼす主要因子としては，骨材のかみ合わせ状態，特に粗骨材の接触状態と骨材を付着させているアスファルトバインダ（以下，バインダ）のせん断変形特性が挙げられる．つまり，アスコンの塑性流動抵抗性はアスコン中のバインダのせん断強度に依存するものと考えられる．
そこで，本研究ではせん断変形抵抗性を評価する簡便な試験法としては，一軸圧縮試験（UCT）に着目した．この試験法は，一連の配合設計の過程で得られる試験供試体を用いることができるため，WT試験よりもかなり簡便に行うことができる利点を有する．そして，将来的には配合設計に組み込むことが可能で，より合理的にアスコンを設計することができると考えられる．本研究では，アスコンのUCT試験を具体化するとともにアスコンの塑性流動抵抗性をUCT試験で評価することを目的とした．
検討方法はまず，本研究の予備検討という位置づけで，UCTにおいて有効な供試体寸法について評価した．UCTがアスコンの塑性流動抵抗性の評価方法として，適用が可能であるかどうかを確認するために，現行のWT試験との比較を行った．
本研究の検討結果を次のように取りまとめた．骨材配合が同一でアスファルト量を変化させた場合は，UCTの結果とWT試験のDSとの関係は負の相関となった．これは試験の方法の差異による載荷および拘束条件の違いにあると考えられる．そのため，UCTはアスファルト量がOACの条件と異なるスコンに対して塑性流動抵抗性を評価することができない．しかし，アスファルト量がOACの状態で混合物の種類（骨材粒度）を変化させた場合，WT試験とUCTの結果の間にある程度の相関性を認めることができる．これより，UCTは骨材粒度を変化させる混合物の塑性流動抵抗性を評価する場合の評価試験には向いている．
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